研究概要(2023年度)
2024 | 2023 | 2022 | 2021 | 2020
研究概要
生物薬品部では,生物薬品(バイオテクノロジー応用医薬品/生物起源由来医薬品)の品質・有効性・安全性確保に資するレギュラトリーサイエンス研究を行ってい
る.研究業務の対象となる製品には,新有効成分バイオ医薬品及びバイオシミラーが含まれ,新薬開発に加えて社会的観点からアンメットニーズに応えることが期待されるこれら製品について,品質リスクマネジメントに必要とされる評価法の開発と標準化を先導的に実施することで,バイオ医薬品等の品質安全性確保を通じて社会貢献することを組織目標としている.
令和5年度は,バイオ医薬品等の品質評価に関する研究として,前年度に続き,AMED創薬基盤推進研究事業の官民共同研究班での検討を中心に行い,タンパク質凝集体評価法,不均一性評価のためのインタクト分析法,宿主細胞由来タンパク質評価法,糖鎖分析法の開発と標準化,分析法クオリティ・バイ・デザインの利用に
関する研究を進めた.AMED次世代抗体事業では,品質評価の簡略化の点で応用が期待される液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS)を用いたMulti-attribute Method(MAM)について,規格及び試験方法での活用のため,システムの性能評価基準の設定方法を考案した.また,国立医薬品食品衛生研究所の共同利用型機器としてクライオ電子顕微鏡が導入されたことから,バイ
オ医薬品の特性解析に応用するため,測定および解析環境の整備を行った.
AMED医薬品等規制調和・評価研究事業では,バイオ医薬品等の有効性・安全性評価に関する研究として,免疫原性に関するリスクアセスメントや抗薬物抗体測定法の標準化等に関する研究成果をもとに,「バイオ医薬品の免疫原性評価に関するガイドライン案」を作成し,厚生労働省医薬品審査管理課に提出して意見公募を行っ
た.抗薬物抗体標準品候補品の作製と国際標準品策定機関(NIBSC)への提供等を行い,抗アダリムマブ抗体国際標準パネルの策定に貢献した.バイオシミラーに関する研究では,CDスペクトルを用いた高次構造比較や,高感度LC/MSを用いたproblematic HCPの定量比較法の開発と性能評価を行った.
日本薬局方における生物薬品関連試験法の整備と国際調和に関する研究では,日局生物薬品各条試験法に関する研究の他,第18改正日本薬局方第一追補に掲載された新規参考情報であるフローイメージング法,及び,フローサイトメリーに関して,実際の試験で用いる際に必要なシステム適合性設定の考え方等をまとめた.
令和4年度から研究を開始した新モダリティバイオ医薬品であるエクソソーム製剤の品質評価に関する研究に関しては,サイズ排除クロマトグラフィーあるいはイオン交換クロマトグラフィー−多角度光散乱法を中心に,粒子径分布評価法としての分析性能評価や純度試験としての応用可能性に関する検討を行った他,ナノフローア
ナライザーを用いた分析法の開発に着手した.また,間葉系幹細胞由来エクソソームをモデルとして,生物活性の測定法を立ち上げ,抗炎症効果の指標となり得る分子を見出した.特筆すべき成果として,令和6年3月23日に開催された第23回日本再生医療学会総会において,山元智史研究員がmicroRNA制御を応用した細胞外小胞大
量産生法の確立に関する発表により,優秀演題賞を受賞した.中分子ペプチドに関して,品質確保のためのガイドライン案作成に貢献し,厚生労働省医薬品品管理課からの意見公募を行った.
薬事規制に関する令和5年度の大きなトピックとして,厚生労働省医薬品審査管理課の主催により,「創薬力の強化・安定供給の確保等のための薬事規制のあり方」に関する検討会の実施が挙げられる.令和5年7月から令和6年3月までに計9回の検討会議が開催され,主にドラッグ・ラグ,ドラッグ・ロスの解消に向けた方
策について議論が行われ,薬事規制の国際的整合性に関する検討が行われた.この中には,承認申請書における製造方法等の記載に関する検討が含まれ,AMED規制調和事業におけるバイオ医薬品のライフサイクルマネジメントに関する研究で検討していた承認事項の変更カテゴリーの追加や承認申請書記載事項に関する通知改正の
具体化に向けて,品質に関する承認事項の在り方を見直す転機となった.令和6年度以降,具体的な制度改革に向けた検討が進められる予定である.
厚生労働省の後発医薬品等品質確保対策事業では,引き続き,バイオシミラーの品質確保のための調査と製品の試験を行った.国内で流通しているバイオシミラー製剤の試験として5製剤を対象に,生物活性試験あるいは純度試験を実施し,規格への適合性を確認した.
人事面では,令和5年10月1日付けで,山元智史博士が任期付き研究員として採用された.
研究業績
1.バイオ医薬品の品質評価に関する研究
1) 先端的バイオ医薬品の最適な実用化促進のためのCMC分野における創薬基盤技術の高度化に関する研究
(AMED 創薬基盤推進研究事業)
前年度に実施した目標分析プロファイル設定ケーススタディに関して,各機関で開発フェーズごとの設定について検討し,製法が未確立な開発初期,臨床試験開始時を想定した開発中期,承認申請を想定した開発 後期における目標分析プロファイルの設定の考え方を明らかにした.
2) 凝集体及び不溶性微粒子評価技術に関する研究
(AMED 創薬基盤推進研究事業)
2 μmクラス新規粒子標準試料の有用性評価のため,光遮蔽法とフローイメージング法(FI)を使った共同測定を実施し,新規粒子標準試料の光学的特性が反映された結果が得られた.一方でFIで機関間の差異と,粒子径の特性値との差が大きいことが課題となった.分光学的手法を使った微粒子の由来特定について共通試料を使った共同研究を開始し,観察試料の調製方法が課題として挙げられた.
3) 高分解能質量分析計を用いたインタクト分析
(AMED 創薬基盤推進研究事業)
トラスツズマブの光照射,中性処理,アルカリ性処理を行った強制劣化試料を作成し,それぞれの試料で生じた変化を電荷プロファイル及びペプチドマップにて評価した.その結果,中性及びアルカリ性処理においては主に軽鎖Asn30にのみ影響していること,また,光照射処理においては,主に重鎖Met255の酸化が関与することが示唆された.
4) Fc受容体固定化カラムを用いた抗体医薬品の特性解析法の開発
(AMED 創薬基盤推進研究事業)
FcRnへの親和性が異なるアダリムマブ改変体と,異なる抗体医薬品製剤を用いて,カラムからの溶出プロファイルの比較を行った.カラムからの溶出プロファイルと,表面プラズモン共鳴法を用いて親和性解析を行った結果を比較した.
5) LC/MSを用いた宿主細胞由来タンパク質(HCP)試験法に関する研究
(AMED 創薬基盤推進研究事業)
LC/MSを用いたHCP分析の試料調製に目的物質除去法を適用する際の留意点を明らかにした.また,LC/MSを用いたHCP-ELISAの測定能予測法を開発し,有用性を明らかにした.加えてNPD法を用いた網羅的HCP評価技術について検討し,HCP由来ペプチドのピーク選別手順を確立した.
6) 次世代抗体医薬品の実用化に向けた品質評価及び管理手法に関する技術的研究
(AMED 次世代治療・診断実現のための創薬基盤技術開発事業)
前年度に作成した細胞基材に関する文書を学術誌に投稿して公表した.バイオ医薬品のウイルス安全性に関するICH Q5Aガイドライン改定に伴い,細胞基材の評価に関する教材において追加すべき事項を検討した.
7) 質量分析を利用した次世代抗体の構造特性評価手法の確立
(AMED 次世代治療・診断実現のための創薬基盤技術開発事業)
複数MSメーカーとの共同研究結果に基づき,LC/MSシステムの性能評価基準を考案した.また,これまでに構築したMAMを用いて,研究班で創製されたRI標識用リンカー付加抗体の構造特性評価を開始した.
8) 微生物等を用いて創製される抗体医薬品の構造特性解析
(AMED 次世代治療・診断実現のための創薬基盤技術開発事業)
酵母により産生されたT細胞誘導性二重特異性抗体のフレームワーク置換体の部位特異的糖鎖解析を行い,フレームワーク置換が糖鎖付加に及ぼす影響を明らかにした.また,酵母で産生されたSARS-CoV2_RBD(Omicron株)の構造特性評価を行い,末端配列及びO結合型糖鎖の不均一性を明らかにした.
9) バイオ後続品の品質評価に関する研究
(AMED 医薬品等規制調和・評価研究事業)
日本で承認されたバイオ後続品に関し,先行品との差異が報告されている品質特性について調査した.また,バイオ後続品の開発時に用いられる品質比較試験に用いられているロット数や比較評価の方法に関し,海外の動向を調査した.
10) 製造工程由来不純物である宿主細胞由来タンパク質
の新規評価法の開発
(AMED 医薬品等規制調和・評価研究事業)
11種類のproblematic HCPについて,LC/MSにより一斉定量するための分析条件を決定した.また,トラスツズマブを分析対象として分析法バリデーションを実施し,良好な感度,直線性,真度及び精度が得られることを確認した.
13) 高次構造評価を指向した分光学的手法を用いたバイオ後続品の特性解析法の構築
(AMED 医薬品等規制調和・評価研究事業)
国内で流通している先行バイオ医薬品及びバイオ後続品の円偏光二色性のスペクトルデータについて類似性を解析する複数の手法を比較し,妥当と考えられる方法を検討した.FT-IR及びラマン分光法においては,測定条件を最適化した.
2.バイオ医薬品の有効性・安全性評価に関する研究
1) 抗体薬物複合体の新規薬物分析法の標準化に関する研究
(AMED 創薬基盤推進研究事業)
抗体薬物複合体のペイロード修飾率を部位毎に評価するための手法を確立する一環として,サブユニットLC/MS分析法を構築した.また,多機関共同研究による応用可能性評価を開始した.
2) 抗薬物抗体評価と標準パネル
(AMED 医薬品等規制調和・評価研究事業)
WHO国際標準品設定のための国際協力としてNIBSCに送付した抗アダリムマブ抗体10クローンより,協議の上2クローンを選択して大量精製を行った.性質を確認の上,約50mgと80mgの抗体を送付した.
3) 抗SARS-CoV-2及び抗薬物抗体評価
(AMED 医薬品等規制調和・評価研究事業)
COVID-19患者試料について各種変異株のスパイクタンパク質に対する抗体価を測定し,武漢株感染後に得られた抗体の交差反応性を評価した.
4) 免疫原性評価ガイドライン作成に関する研究
(AMED 医薬品等規制調和・評価研究事業)
前年度に引き続き,産官学の専門家からなるワーキンググループによる議論をもとに「バイオ医薬品の免疫原性評価に関するガイドライン案」を作成し,意見公募を行った.
5) バイオ医薬品に対する抗薬物抗体評価法に関する研究
(AMED 医薬品等規制調和・評価研究事業)
抗TNFα抗体医薬品を投与された炎症性腸疾患患者試料のうち抗薬物抗体の陽性検体について中和活性を測定したところ,中和活性陽性の検体が検出された.ただし,疾患活動指標において差は認められず,臨床症状はコントロールされているものと考えられた.
3.日本薬局方等における生物薬品関連試験法の整備と国際調和に関する研究
1) 日本薬局方の国際化に関する調査研究
(医薬品承認審査等推進費)
第十八改正日本薬局方第二追補に収載される生物薬品関連の各条,一般試験法及び参考情報について,告示される日本語版に対応した英語表記の確認を行った.
2) 医薬品の品質管理の高度化に対応した日本薬局方等の公定試験法拡充のための研究開発
(一般試験研究費)
フローサイトメトリー参考情報に関して,国際調和の提案に向けた課題を明らかにするため,学術論文や学会等の発表を対象にした技術開発状況及び米国薬局方と欧州薬局方の動向を調査した.
3) 医薬品の品質確保のための分析法の開発及びバリデーションに関する研究
(AMED 医薬品等規制調和・評価研究事業)
ICH Q2(R2)「分析法バリデーション」およびQ14「分析法開発」ガイドラインの意見公募で得られたコメントに対して修正作業を行い,専門家作業部会内での最終合意に到達した.
4) 生体試料中薬物濃度分析法バリデーションの国際調和に関する研究
(AMED 医薬品等規制調和・評価研究事業)
ICH M10「生体試料中薬物濃度分析法バリデーション及び実試料分析」ガイドライン本文及びQ&Aに関して,通知及び事務連絡発出のための日本語訳を作成した.また,ガイドラインの運用に役立てることを目的に,トレーニング用資材を作成した.
5) バイオ医薬品のライフサイクルマネジメントに関する研究
(AMED 医薬品等規制調和・評価研究事業)
バイオ医薬品の製造販売承認申請書記載事項に関して,日本独自のシステムである目標値/設定値や変更カテゴリーについて,国内の運用実態と国際的整合性を考慮して,ICH Q12調和後における承認事項の在り方を検討した.また,厚生労働省「創薬力の強化・安定供給の確保等のための薬事規制のあり方に関する検討会」に参加し,変更管理システムの今後の方向性について議論した
6) AQbDによる分析法のライフサイクルマネジメントに関する研究
(AMED 医薬品等規制調和・評価研究事業)
HPLCからUHPLCへの変更事例について,医薬品など変更計画確認申請時に添付する変更計画(PACMP)のモックアップを作成した.
7) 日局各条品生物薬品に含まれる不純物等の規格及び試験法原案の作成及びその検証に関する研究
(一般試験研究費)
インスリン グラルギンの純度試験を準用し,分離 度と各種分析性能パラメータの関連について検討し た.p/v,ΔtR/W及びピークキャパシティーは分離 度と相関し,分析性能の指標として有用であることが 示された.また,ベースライン付近のピーク形状の変 化は近接する不純物ピークの含量の評価に影響を与 え,p/vは最も良く反応する指標であった.
8) フローサイトメトリーを用いた生物薬品の試験法に関する研究
(医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス財団研究補助金)
第十八改正日本薬局方第二追補に収載予定であるフローサイトメトリーの参考情報を補足する技術的な情報,特にフローサイトメトリーを用いたバイオ医薬品の生物活性試験の具体的な試験方法や試験成立条件の記載例などを取りまとめ,専門誌へと投稿した.
9 )放射性医薬品評価推進事業
(医薬品承認審査等推進費)
放射性医薬品基準の改定に関し,本基準で取り扱う範囲について検討を行った.
10)日本薬局方国際調和推進事業
(医薬品承認審査等推進費)
薬局方の国際調和のために必要な試験法を確立し,データの取得が可能となるよう,必要な設備・体制を整備した.また,日局フィルグラスチム各条に関し,欧米局方の各条との違いを精査し,調和に必要な検討事項を明らかにした.
4.先端的バイオ医薬品等開発に資する品質・有効性・安全性評価に関する研究
1) 抗SARS-CoV-2抗体の特性解析に関する研究
(AMED医薬品等規制調和・評価研究事業)
前年度までに得られた抗SARS-CoV-2抗体の結合エピトープと抗体依存性免疫増強の関連に関する研究成果を論文としてまとめ,学術雑誌に投稿した.
2) MHC-Associated Peptide Proteomics(MAPPs)解析によるFcRn親和性の変化が抗原提示に及ぼす影響の解明
(科学研究費補助金)
FcRn親和性を上昇させたアダリムマブ改変体,FcRn親和性を減弱したアダリムマブ改変体,コントロールのアダリムマブについて,異なるロットの樹状細胞を用いて,MHCに提示されるペプチドの比較を行った.また,改変抗体種を増やした解析も開始した.
3) クライオ電子顕微鏡を用いた次世代抗体医薬品の高次構造解析法
(AMED次世代治療・診断実現のための創薬基盤技術開発事業)
国立医薬品食品衛生研究所へのクライオ電子顕微鏡の導入,立ち上げを行った.グリッドの作製方法と,電顕本体の冷却からビーム出し,試料ステージの調整,高速フーリエ変換の調整,スリットの調整,絞りの調整を行い,タンパク質の単純撮像まで行えるよう準備した.
4) コンジュゲート抗体の品質評価に関する研究
(AMED次世代治療・診断実現のための創薬基盤技術開発事業)
LYTACの部位特異的修飾体を作製し,修飾部位・修飾数の評価方法を構築するとともに,LYTACの生物活性を評価するための実験系を構築した.
5) 中分子ペプチド医薬品の品質特性解析に関する研究
(AMED医薬品等規制調和・評価研究事業)
研究班で試験的製造された非天然アミノ酸及び環状構造を有する細胞内標的特殊環状ペプチドを分析対象として,安定性評価を行い,ペプチド関連不純物のプロファイルの変化を明らかにした.
6) 中分子ペプチド医薬品の品質管理戦略に関する研究
(AMED医薬品等規制調和・評価研究事業)
中分子ペプチド医薬品の開発推進と品質確保に資する規制上の推奨事項を示すため,「合成ペプチドの品質評価に関するガイドライン案」を作成し,意見公募を行った.
7) IgA製剤の品質確保に関する研究
(一般試験研究費)
経口投与されるIgA製剤の重要品質特性について考察し,品質確保の課題について検討した.
8) 抗体医薬品凝集体の非標的細胞取込に関わる受容体の同定
(科学研究費補助金)
抗体医薬品凝集体の非標的細胞取込に関わる分子の探索のため,CRISPR-Cas9を用いたgenome wide screening systemを構築し,蛍光標識抗体凝集体の細胞内取込を指標にスクリーニングを実施した.
9)変異型抗体のFc受容体結合に関する研究
(一般試験研究費)
変異型抗体のFcRn親和性とFcγR親和性を解析し,通常型抗体との比較を行った.
5.非ペプチド・タンパク質モダリティーバイオ医薬品等の品質評価に関する研究
1) エクソソームを含む細胞外小胞(EV)を利用した治療用製剤に関する調査研究
(一般試験研究費)
前年度に作成した報告書をもとに,日本における考え方について海外に発信するため,総説を作成して国際誌に投稿した.
2) エクソソーム製剤の品質管理戦略構築に関する研究
(AMED医薬品等規制調和・評価研究事業)
エクソソーム製剤の物性評価に関して,複数の間葉系幹細胞(MSC)由来エクソソーム試料について特性評価を行い,ロット間や製造法間で変動の大きい,もしくは小さい指標が存在することが判明した.表面マーカータンパク質の評価法として,新たに導入したナノ粒子用フローサイトメーターを用いた分析法を確立した.生物活性評価においてはタンジェンシャルフローろ過(TFF)試料を用いてPCRによる抗炎症効果の確認(系の確立),安定性の確認及びELISAとの比較検討を行った.PCRがELISAより鋭敏に測定できる条件の選定,一般的な炎症マーカーであるTNFaに変わる因子の同定をした.また今後は不死化細胞がエクソソーム製剤の産生細胞として多用されることを見越し,ヒトテロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)で不死化したMSCのエクソソームが品質などの評価に使用可能か検討した.脂肪由来の細胞株で抗炎症効果を確認した.
3) 新興感染症等の緊急時に用いられる回復者血漿製剤の品質確保に関する研究
(一般試験研究費)
COVID-19に対して行われた回復者血漿療法について主として臨床成績と品質の観点から調査を行い,回復者血漿の品質安全性確保の課題について検討を行った.
4) 新型コロナワクチン等品質安全性確保事業
(一般試験研究費)
抗原とアジュバントが別バイアルの製剤について,動的光散乱法とナノトラッキング解析法(NTA)で測定したところ,試料の希釈倍率が高いほど粒子径が大きく見積もられる傾向が認められた.また,抗原やアジュバントに含まれる大量ナノ粒子がFIによる不溶性微粒子の測定に影響し,不溶性微粒子数が低く見積もられることが判明した.
5)多発性骨髄腫における細胞外小胞を介した新規免疫調節薬耐性化機構の解明
(科学研究費補助金)
薬剤耐性細胞が分泌するエクソソームの薬剤耐性獲得機構への寄与を調べた.内包物に薬剤耐性になると報告のあるマイクロRNAを固定した.がん細胞による悪性化に関わる因子の同定を行った.
