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抗体医薬品・Fc融合タンパク質

抗体医薬品とは

抗体は、本来、生体防御に寄与するタンパク質で、免疫グロブリン(immunoglobulin)とも呼ばれます。抗体医薬品は、疾患関連分子に特異的に結合する抗体を遺伝子組換え技術等を応用して作製し、医薬品としたものです。20世紀半ばから、ヒト血漿から精製された免疫グロブリン製剤が感染症治療等に用いられてきましたが、1975年に、ケラーとミルシュタインによりマウスモノクローナル抗体作製技術が確立され、疾患関連分子に対して特異的な結合能を持つ抗体を人工的に作製することが可能となりました。続いて、マウスモノクローナル抗体の臨床応用に際して問題となった免疫原性を低減し、血中濃度の維持をも可能にする技術(キメラ型抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体の作製技術)が開発され、今日では、多くの抗体医薬品が臨床応用されています。ヒト血漿から精製された免疫グロブリン製剤も、広義には抗体医薬品に含まれますが、ここでは、遺伝子組換え技術等を応用して作製されるモノクローナル抗体医薬品について解説します。

表1

日米欧で承認された抗体医薬品

現在では、日米欧で100品目を越える抗体医薬品(表1,2022/3/19,PDF)が承認されています。その多くは、癌や自己免疫疾患を対象とするもので、治療に欠かせない存在となっている製品も少なくありません。また、最近では、有効性・安全性の向上を目指した各種の改変型抗体医薬品の開発も進んでいます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

各国で承認されている抗体医薬品に関する情報

 

抗体医薬品の構造

抗体は、抗原結合に関与する可変部、及び、定常部から構成されています(図1, PDF)。ヒトの免疫グロブリンには、IgG、IgM、IgD、IgE、IgAという5つのクラスがありますが、これまでに承認されている抗体医薬品は、全てIgG由来の配列を持つものです。現在までに承認されている抗体医薬品は、遺伝子の由来から、主に4種類(マウス抗体、キメラ型抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体)に分類されます(図2, PDF)。

図1図2

抗体医薬品の名称

INN 新ルール

INNの抗体医薬品の名称ルールについて、2021年11月に大幅な改正が行われました(新ルール)。
これにより、旧ルールでは、抗体医薬品の一般名称に-mabというステムが付けられていましたが、
表2 (PDF) の定義に変更され、サブステムについても、表3 (PDF) の定義に変更されました。