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重症薬疹の発症に関連する因子の解析研究

重症薬疹発症と相関するHLA型及び遺伝子多型に関する研究論文

アバカビル

抗HIV薬

Genetic variations in HLA-B region and hypersensitivity reactions to abacavir. Hetherington S et al., Lancet 359, 1121-1122 (2002)

人種

過敏症患者では白人が78%、黒人が11%、ヒスパニックが8%、他人種が4%
コントロール患者では白人が71%、黒人が16%、ヒスパニックが12%、他人種が1%

方法

アバカビルの臨床試験時のデータのレトロスペクティブ解析。アバカビルによる過敏症発症患者85人及びコントロール患者115人(アバカビルを6週間以上飲んでも過敏症反応なし)を対象に、HLA型のタイピングをHLA-A, -B, -DRにつき遺伝子解析により行った。また、アバカビルの代謝または免疫反応に関係する12種の遺伝子ファミリーの114多型につきタイピングした。統計解析は、フィッシャーの正確確率検定により行った。

結果

過敏症患者ではHLA-B57の保有率は46%(39/84)、コントロール患者では4%(4/113)であった(オッズ比: 23.6、P<0.0001)。また白人に限った場合は、過敏症患者のHLA-B57保有率は55%(36/65)、コントロール患者では3%(2/80)であった。黒人の過敏症患者中HLA-B57保有率は、22%(2/9)であった。またTNFaの-238G>A多型も過敏症患者での保有率は43%(25/58)、コントロール患者では7%(7/99)と有意差が認められた(オッズ比10.0,P<0.0001)が、本多型はHLA-B57との連鎖が認められた。またMHC class I chain-related gene A (MICA)の-9263多型も過敏症患者での保有率が92%(48/52)、コントロール患者では70%(64/92)と有意差が認められた(オッズ比5.3,P<0.0015)。薬物代謝酵素関係では、CYP1A2の多型(詳細不明)が有意に相関していた(P=0.024)。なお、ロジスティック回帰分析では、HLA-B57が最も過敏症発症に予測性の高い因子であった(P<0.0001)。

結論

HLA-B57(及び他の2-3種の多型)は、白人におけるアバカビルによる過敏症発症と相関していることが示唆された。

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