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重症薬疹の発症に関連する因子の解析研究

重症薬疹発症と相関するHLA型及び遺伝子多型に関する研究論文

アバカビル

抗HIV薬

Association between presence of HLA-B*5701, HLA-DR7, and HLA-DQ3 and hypersensitivity to HIV-1 reverse-transcriptase inhibitor abacavir. Mallal S et al., Lancet. 359, 727-732 (2002).

人種

主として白人(ただし、コントロール患者に黒人7人、アーストラリア原住民11人、アジア人6人を含む)

方法

アバカビルによる過敏症発症患者18人及びコントロール患者167人(アバカビルを6週間以上飲んでも過敏症反応なし)を対象に、HLA型のタイピングをHLA-A, -B, -C, -DRB1, -DQにつき血清学的に、又はシーケンス配列解析により行った。また、MHC領域(C4A6, TNFa)の遺伝子多型及びマイクロサテライトについてもタイピングした。統計解析は、フィッシャーの正確確率検定により行った。また、P値には解析領域のHLAアリル数を掛けて補正した。

結果

過敏症を発症した患者は全て白人であった。過敏症患者におけるHLA-B*5701の保有率は78%(14/18)、コントロール患者では2%(4/167)であった(オッズ比: 117、補正後のP値<0.0001)。またHLA-DR7, HLA-DQ3も過敏症患者での保有率は72%(13/18)、コントロール患者では3%(6/167)と有意差が見られた(オッズ比: 73、補正後のP値<0.001)。HLA-B*5701とHLA-DR7, HLA-DQ3は、ハプロタイプを形成しており、本ハプロタイプの保有率は過敏症患者で72%(13/18)、コントロール患者では0%(0/167)と最も強い相関が見られた(オッズ比: 822、補正後のP値<0.001)。本ハプロタイプの陽性的中率(この組合せを持っていると過敏症が起こる)は100%、陰性的中率(この組合せを持っていないと過敏症は起こらない)が97%であった。過敏症患者で本ハプロタイプを有していない患者中、2名ではTNFaの-308G>A多型が検出された。

結論

HLA-B*5701 - HLA-DR7 - HLA-DQ3ハプロタイプは、白人におけるアバカビルによる過敏症発症と強く相関していることが示唆された。

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