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重症薬疹の発症に関連する因子の解析研究

重症薬疹発症と相関するHLA型及び遺伝子多型に関する研究論文

アロプリノール

高尿酸血症薬

Stevens-Johnson syndrome, drug-induced hypersensitivity syndrome and toxic epidermal necrolysis caused by allopurinol in patients with a common HLA allele: what causes the diversity?. Dainichi T et al., Dermatology, 215: 86-88 (2007)

人種

日本人

方法と結果

  • ケース1:57歳の男性で、Stevens-Johnson症候群を発症した。アロプリノール服用中止による回復及びパッチテストで陽性なことから、アロプリノールが原因薬剤と診断された。PSR-rSSO法によるHLA血清型解析の結果、A31, A33, B51, B58を有していた。
  • ケース2:77歳の男性で、DIHS/DRESSを発症した。抗ヘルペスウィルス6型IgGの抗体価は、入院11日後に2,560に上昇した。アロプリノール服用中止による回復等の病歴から、アロプリノールが原因薬剤と診断された。HLA血清型は、A31, A33, B39, B58であった。
  • ケース3:93歳の男性で、過去にアロプリノールによる播種状紅斑丘疹型薬疹を発症した経歴があるが、1年後、老人保健施設のクリニックによるアロプリノールの処方及び服用により中毒性表皮壊死症を発症した。HLA血清型は、A24, A33, B52, B58であった。

この様に、3名のアロプリノール服用患者が重症薬疹を発症したが、臨床像はStevens-Johnson症候群・DIHS/DRESS・中毒性表皮壊死症と異なっていた。一方、これら3名は、ともにHLA-B58 (B*5801)を有していた。従って、HLA-B*5801はアロプリノールによる重症薬疹発症の鍵とみられる。

同一のHLA-B*5801を有していても、異なる臨床像を呈する因子として、Tリンパ球の学習履歴の違い、T細胞受容体のレパトアの違い、薬剤抗原エピトープの違い、提示される抗原ペプチドの違い、等が考えられ、4つの異なる仮説を提唱した。

結論

3名のアロプリノールによる重症薬疹患者からHLA-B58 (B*5801)が検出された。しかし、臨床像は、DIHS/DRESS・Stevens-Johnson症候群・中毒性表皮壊死症と異なるものであった。その違いを生み出す機構として、CD8+T細胞への抗原提示における違いにつき、4つの異なる仮説を提唱した。

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