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重症薬疹の発症に関連する因子の解析研究

重症薬疹発症と相関するHLA型及び遺伝子多型に関する研究論文

アバカビル

抗HIV薬

Predisposition to abacavir hypersensitivity conferred by HLA-B*5701 and a haplotypic Hsp70-Hom variant. Martin AM Et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 101, 4180-4185 (2004)

人種

主として白人(ただし、コントロール患者に黒人11人、アーストラリア原住民15人、アジア人8人を含む)

方法

アバカビルによる過敏症発症患者18人及びコントロール患者230人(アバカビルを6週間以上飲んでも過敏症反応なし)を対象に、HLA型のタイピングをHLA-A, -B, -C, -DRB1, -DQにつき遺伝子解析により、又はシーケンス配列解析により行った。また、MHC領域(C4A6-MEGT1)の遺伝子多型につきタイピングした。統計解析は、フィッシャーの正確確率検定により行った。また、P値には解析領域のHLAアリル数を掛けて補正した。

結果

過敏症患者ではHLA-B*5701の保有率は94.4%(17/18)、コントロール患者では1.7%(4/230)であった(オッズ比: 960.0、補正後のP値<0.00001)。HLA-B*5701は、class III領域のC4A*6 (補体の第4因子の1種のアリル), Hsp70-HomのMet493Thr多型 (HSPA1L: HSP70の1種、1478T>C)、HLA-DRB1*0701 ? HLA-DQ3と同一ハプロタイプを形成しており、過敏症患者においてコントロール患者に対するこれらの3種のオッズ比も約60-112と高い。特に、HLA-B*5701とHsp70-Hom M493Tアリルとのコンビネーションは最もオッズ比が高く(3,893)、過敏症群での保有率は94.4%(17/18)、コントロール群では0.4%(1/230)であり、有意に異なる頻度であった(補正後のP<0.00001)。この組合せでは、陽性的中率(この組合せを持っていると過敏症が起こる)が93.8%、陰性的中率(この組合せを持っていないと過敏症は起こらない)が99.5%であった。陰性的中率のみならHLA-B*5701のみでも同様だが、陽性的中率が78.9%と低かった。

結論

HLA-B*5701及びHSP70-HomのMet493Thr多型(1478T>C, rs2227956)は、白人におけるアバカビルによる過敏症発症と強く相関していることが示唆された。

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