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重症薬疹の発症に関連する因子の解析研究

重症薬疹発症と相関するHLA型及び遺伝子多型に関する研究論文

アロプリノール

高尿酸血症薬

HLA-B*5801 allele as a genetic marker for severe cutaneous adverse reactions caused by allopurinol. Hung SI et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 102, 4134-4139 (2005)

人種

台湾人(漢民族)

方法

アロプリノールによる重症薬疹患者(皮膚の過敏症・Stevens-Johnson症候群・中毒性表皮壊死)51名、コントロール患者135名(アロプリノールを6ヶ月以上飲んでも副作用なし)、および健常人93名につき、MHC領域(染色体6p21.3領域)の197種の遺伝子多型、及び免疫・薬物代謝関連遺伝子の626種の多型につきタイピングした。また、HLA型のタイピングは、HLA-A, -B, -C, -DRB1につき、Reverse lineblot法またはシーケンス配列解析により行った。まずは30名(薬疹患者)と60名(コントロール患者)につき行い、P<0.01となった多型/HLA型につき、さらに21名の薬疹患者、75名のコントロール患者、及び93名の健常人につき解析した。統計解析は、フィッシャーの正確確率検定により行い、解析アリル数を掛けて補正した。

結果

薬疹患者とコントロール患者との比較解析において、2段の解析共に(また総合的にも)有意(補正後のP<0.05)となったのは、HLA型ではHLA-B*5801(コントロール患者に対する薬疹患者のオッズ比:580.3, P=4.7 x 10-24)であり、同一ハプロタイプ上にあるCw*0302(オッズ比: 97.7, P=1.4 x 10-19), DRB1*0301(オッズ比: 12.7, P=2.8 x 10-6)、A*3303(オッズ比: 9.3, P=2.2 x 10-4)も有意であった。また薬疹患者と健常人との比較でも、オッズ比やP値は上記の値より落ちるものの有意であった。

HLA型以外では、下記の遺伝子領域の多型が有意(P<0.05)であった。

BAT3 (HLA B-associated Transcript 3, NCBI rs3117583)
MSH5 (mutS homolog 5, NCBI rs1150793)
MICB (MHC-class I polypeptide-related sequence B, NCBI rs2855804)

以上の3種はMHC class III領域の多型

CFLAR (CASP8 and FADD-like apoptosis regulator, NCBI rs1594, rs2268791)

結論

HLA-B*5801や数種の遺伝子多型は、漢民族においてアロプリノールによる重症薬疹発症と強く相関していることが示唆された。

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