重症薬疹の発症に関連する因子の解析研究
重症薬疹の診断基準
中毒性表皮壊死融解症(TEN)/ライエル症候群の診断基準
「中毒性表皮壊死症(toxic epidermal necrolysis;TEN)の診断基準(2016)」から引用
(重症多形滲出性紅斑ガイドライン作成委員会)
http://www.nichigan.or.jp/member/guideline/sjs_ten.pdf
概念
広範囲な紅斑と全身の10%以上の水疱・びらん・表皮剥離など顕著な表皮の壊死性障害を認め,高熱と粘膜疹を伴う.原因の多くは医薬品である.
主要所見(必須)
- 広範囲に分布する紅斑に加え体表面積の10%を超える水疱・びらんがみられる.外力を加えると表皮が容易に剥離すると思われる部位はこの面積に含める.
- (なお,国際基準に準じて体表面積の10~30%の表皮剥離は,SJS/TENオーバーラップと診断してもよい)
- 発熱がある.
- 以下の疾患を除外できる.
- ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS)
- トキシックショック症候群
- 伝染性膿痂疹
- 急性汎発性発疹性膿疱症(AGEP)
- 自己免疫性水疱症
副所見
- 初期病変は広範囲にみられる斑状紅斑で,その特徴は隆起せず,中央が暗紅色の flat atypical targets も しくはびまん性紅斑である.紅斑は顔面,頸部,体幹優位に分布する.
- 皮膚粘膜移行部の粘膜病変を伴う.眼病変では偽膜形成と眼表面上皮欠損のどちらかあるいは両方を伴う両眼性の急性結膜炎がみられる.
- 全身症状として他覚的に重症感,自覚的には倦怠感を伴う.口腔内の疼痛や咽頭痛のため,種々の程度に摂食障害を伴う.
- 病理組織学的に表皮の壊死性変化を認める.完成した病像では表皮の全層性壊死を呈するが,軽度の病変でも少なくとも200倍視野で10個以上の表皮細胞(壊)死を確認することが望ましい.
診断
副所見を十分考慮の上,主要所見3項目の全てを満たすものをTENとする.全経過を踏まえて総合的に判断する.
<参考>
- サブタイプの分類
- SJS 進展型(TEN with spotsあるいはTEN with macules)
- びまん性紅斑進展型(TEN without spots, TEN on large erythema)
- 特殊型:多発性固定薬疹から進展する例など
- びまん性紅斑に始まる場合,治療等の修飾により,主要所見の表皮剥離体表面積が10%に達しなかったものを不全型とする.