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重症薬疹の発症に関連する因子の解析研究

重症薬疹の診断基準

Stevens-Johnson症候群/皮膚粘膜眼症候群の診断基準

「スティーヴンス・ジョンソン症候群(StevensJohnson syndrome;SJS)の診断基準(2016)」から引用
(重症多形滲出性紅斑ガイドライン作成委員会)

http://www.nichigan.or.jp/member/guideline/sjs_ten.pdf

概念

発熱と眼粘膜,口唇,外陰部などの皮膚粘膜移行部における重症の粘膜疹を伴い,皮膚の紅斑と表皮の壊死性障害に基づく水疱・びらんを特徴とする.医薬品の他に,マイコプラズマやウイルス等の感染症が原因となることもある.

主要所見(必須)

  1. 皮膚粘膜移行部(眼,口唇,外陰部など)の広範囲で重篤な粘膜病変(出血・血痂を伴うびらん等)がみられる.
  2. 皮膚の汎発性の紅斑に伴って表皮の壊死性障害に基づくびらん・水疱を認め,軽快後には痂皮,膜様落がみられる.その面積は体表面積の10%未満である.但し,外力を加えると表皮が容易に剥離すると思われる部位はこの面積に含まれる.
  3. 発熱がある.
  4. 病理組織学的に表皮の壊死性変化を認める*.
  5. 多形紅斑重症型(erythema multiforme[EM]major)**を除外できる.

副所見

  1. 紅斑は顔面,頸部,体幹優位に全身性に分布する.紅斑は隆起せず,中央が暗紅色のflat atypical targetsを示し,融合傾向を認める.
  2. 皮膚粘膜移行部の粘膜病変を伴う.眼病変では偽膜形成と眼表面上皮欠損のどちらかあるいは両方を伴う両眼性の急性結膜炎がみられる.
  3. 全身症状として他覚的に重症感,自覚的には倦怠感を伴う.口腔内の疼痛や咽頭痛のため,種々の程度に摂食障害を伴う.
  4. 自己免疫性水疱症を除外できる.

診断

副所見を十分考慮の上,主要所見5項目を全て満たす場合,SJSと診断する.
初期のみの評価ではなく全経過の評価により診断する.

<参考>

  1. 多形紅斑重症型との鑑別は主要所見1~5に加え,重症感・倦怠感,治療への反応,病理組織所見における表皮の壊死性変化の程度などを加味して総合的に判断する.
    *病理組織学的に完成した病像では表皮の全層性壊死を呈するが,少なくとも 200倍視野で10個以上の表皮細胞(壊)死を確認することが望ましい.
    **多形紅斑重症型(erythema multiforme[EM]major)とは比較的軽度の粘膜病変を伴う多形紅斑をいう.皮疹は四肢優位に分布し,全身症状としてしばしば発熱を伴うが,重症感は乏しい.SJSとは別疾患である.

  2. まれに,粘膜病変のみを呈する SJS もある.

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