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トラフェルミン(遺伝子組換え)


【一般名】
トラフェルミン(遺伝子組換え)
Trafermin(genetical recombination)

【解説】
ヒト由来の塩基性線維芽細胞成長因子ゲノム遺伝子の発現により組換え体(大腸菌)で産生される154個(C
764H1201N217O219S6;分子量:17,122.67)及び153個(C761H1196N216O218S6;分子量:17,051.59)のアミノ酸残基からなるタンパク質(N末端;Ala-Ala:65%以上、Ala:35%以下)である。

【分子量】
17,122.67および17,051.59

【剤形】
外用液剤(噴霧剤)、凍結乾燥品

【性状】
白色の塊又は粉末

【投与経路】
表皮局所

【主な効能または効果】
褥瘡、皮膚潰瘍(熱傷潰瘍、下腿潰瘍)

【薬効薬理】
1. 病態モデルにおける創傷治癒促進作用
創傷治癒が遅延する下記病態モデルにおいて薬理作用が認められている。
(1)遺伝的糖尿病マウス及び遺伝的肥満マウスの皮膚全層欠損創の治癒を促進する(面積縮小効果又は完治日数を短縮)。
(2)肝障害ラットの皮膚全層切開傷での皮膚開裂張力の低下を回復させる。
(3)遺伝的糖尿病マウス及び栄養不良ラットの第III度熱傷創の治癒を促進する(完治日数を短縮)。
(4)遺伝的糖尿病マウスの細菌感染皮膚全層欠損創の治癒を促進する(面積縮小効果)。
(5)遺伝的糖尿病マウスの褥瘡の治癒を促進する(完治例数を増加)。

2. 血管新生作用
血管内皮細胞(ACE細胞)のFGF(線維芽細胞成長因子)受容体と特異的に結合し、細胞増殖促進作用、細胞遊走促進作用、プラスミノーゲンアクチベーター産生促進作用、管腔形成作用が認められている(in vitro)。また、ウサギの角膜を用いたマイクロポケット法、健常ラットのペーパーディスク法、健常マウス及び遺伝的糖尿病マウスの皮膚全層欠損創におけるへモグロビン量測定法により血管新生作用が認められている(in vivo)。

3. 肉芽形成促進作用
線維芽細胞(BHK-21細胞)のFGF受容体と特異的に結合し、細胞増殖促進作用が認められている(in vitro)。また、健常ラット及び創傷治癒障害ラット(ステロイド処置、ドキソルビシン投与、X線照射)のペーパーディスク法、健常マウス及び遺伝的糖尿病マウスのコットンペレット法により、肉芽形成促進作用が認められており、健常ラットのペーパーディスク法による肉芽形成に対しても有意な促進作用が認められている(in vivo)。

4. その他の作用
遺伝的糖尿病マウス皮膚全層欠損創の滲出液量及び滲出液中の炎症性細胞数を増加させる。

5. 作用機序
本剤は血管内皮細胞、線維芽細胞等に存在するFGF受容体に特異的に結合し、血管新生作用や肉芽形成促進作用等を示すことにより、褥瘡、皮膚潰瘍に対して治療効果を示す。


<情報はフィブラストスプレー添付文書および医薬品インタビューフォームより>