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ムロモナブ-CD3


【一般名】
ムロモナブ-CD3
Muromonab-CD3

【解説】
マウス由来のIgG 2aに属する抗CD3モノクローナル抗体で1,406個のアミノ酸残基からなるタンパク質である。

【分子量】
約150,000(H鎖 約50,000、L鎖 約25,000)

【剤形】
注射剤

【性状】
無色透明かほとんど透明

【投与経路】
静脈内投与

【主な効能または効果】
腎移植後の急性拒絶反応の治療

【薬効薬理】
作用部位・作用機序
(1) 作用部位
ヒトT細胞表面に存在する表面抗原CD3
(2) 作用機序
末梢の成熟T細胞表面には、表面抗原CD3が存在する。CD3はT細胞受容体(TCR)と複合体を形成しており、TCRが受け取った抗原刺激を細胞内へ伝達する役割を担っている。OKT3がCD3のサブユニットのひとつと結合した後、T細胞はオプソニン作用、引き続き抗原変調作用を受け、CD3陽性T細胞は血中及び移植腎から消失する。その結果、T細胞の細胞障害作用が抑制され、急性拒絶反応が寛解すると考えられている。

(オプソニン作用)
微生物や抗原粒子がオプソニンで被覆されると、貪食作用が促進されることをいう。
この場合、OKT3がオプソニンとなる。

(抗原変調作用)
細胞膜表面の抗原に対する抗体を、その抗原を表現している生細胞に作用させると、膜表面の抗原が消失する現象をいう。この場合、OKT3がCD3に結合すると、CD3とOKT3が結合した状態で1カ所に集まり(capping状分布)、これが、T細胞表面から脱落する(shedding)か、またはT細胞内に取り込まれる(endocytosis)ことにより、CD3陰性細胞(blind T細胞)となる。

薬効を裏付ける試験成績
(1) 細胞傷害性T細胞に対する抑制作用(in vitro)
健常成人ヒトリンパ球を分離し、リンパ球混合培養法により活性化させた細胞傷害性T細胞の標的細胞(EBウイルスにて株化させたヒトB細胞、799CP71)に対する融解率をあらかじめ測定した。この系にヒトT細胞表面抗原に対する各種モノクローナル抗体を添加し、T細胞の細胞傷害作用に対する抑制作用を調べた。T細胞の細胞傷害反応に対するOKT3の抑制作用は、他のモノクローナル抗体に比べ最も強力であった。なお、OKT3のIC50は約500ng/mLであった。

(2) ヒト末梢血中のCD3陽性T細胞消失作用
腎移植後に急性拒絶反応を発現した成人患者を対象に、本剤1日1回5mgを連続10日間静脈内投与期間中、CD3陽性T細胞は速やかに消失し、その消失状態の持続が認められた。


<情報は全てオルソクローンOKT3注添付文書および医薬品インタビューフォームより>