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インターフェロン ベータ-1b(遺伝子組換え)


【一般名】
インターフェロン ベータ-1b(遺伝子組換え)
Interferon beta-1b(genetical recombination) 
   
【解説】
165個のアミノ酸からなるタンパク質

【分子量】
19,877.57

【剤形】
注射剤

【性状】
白色の塊状の凍結乾燥製剤

【投与経路】
皮下投与

【効能又は効果】
多発性硬化症の再発予防及び進行抑制

【薬効薬理】
ベタフェロンは免疫調節作用、抗ウイルス作用、細胞増殖抑制作用などインターフェロンとしての様々な生理活性を持つ。多発性硬化症発症に対しては主に以下の様な免疫調節作用が関与すると考えられている。

1. 末梢におけるT細胞活性化の抑制
T細胞がマクロファージなどの抗原提示細胞から抗原提示により活性化するにはHLA class Ⅱの存在が必要とされる。ベタフェロンはこのHLA class Ⅱの発現を抑制する。またこのHLA class Ⅱの発現は、T細胞自身から産生されるインターフェロン-γにより促進されるが、ベタフェロンは、このインターフェロン-γ産生を抑制する。これらの作用によりベタフェロンは生体内の免疫応答能を低下させ、ミエリン類似物質を抗原としたT細胞の活性化を抑制していると考えられる。

2. 活性化T細胞の血液-脳関門通過の抑制
活性化した末梢リンパ球が中枢神経系に侵入するには、まず血管内のリンパ球が血管内皮細胞に接着する必要がある。この過程には接着分子、特に血管内皮細胞上にあるVCAM-1と、そのリンパ球側リガンドVLA-4との結合が重要な役割を果たしていると考えられている。ベタフェロンはリンパ球上にあるVLA-4の減少、および血清可溶性VCAM-1の増加により血管内皮細胞上VCAM-1とリンパ球上VLA-4との結合を阻害していると考えられている。また、matrix metalloproteinase-9(MMP-9)は細胞外マトリックスの分解酵素であり、血液-脳関門のバリアー機能低下を引き起こす。ベタフェロンはMMP-9の産生を低下させ、血液-脳関門破綻を抑制していると考えられている。

3. 中枢におけるT細胞の再活性化の抑制と炎症性サイトカイン分泌抑制
中枢に浸潤したリンパ球は神経膠星状細胞などの抗原提示細胞より、ミエリン類似物質を抗原として再活性化を受ける。再活性化を受けたリンパ球は中枢においてTNF-αやリンフォトキシン(LT)などの炎症性サイトカインを分泌する。こうして炎症が引き起こされた結果、マクロファージなどの貪食細胞が局所に動員され、ミエリン産生細胞である乏突起神経膠細胞(オリゴデンドロサイト)が傷害を受ける。ベタフェロンはリンパ球の再活性化を抑制すると共にこれらの炎症性サイトカインの産生を抑制し、さらにTGF-β1、IL-10などの抗炎症性サイトカインの産生を亢進させて中枢における脱髄を抑える。

<情報は全てベタフェロン皮下注添付文書およびインタビューフォームより>