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フィルグラスチム(遺伝子組換え)


【一般名】
フィルグラスチム(遺伝子組換え)
Filgrastim(genetical recombination)

【解説】
ヒト膀胱細胞由来の顆粒球コロニー形成刺激因子に対応する遺伝子の発現により、組換え体(大腸菌)で産生される175個のアミノ酸残基(C
845H1339N223O243S9;分子量:18,798.88)からなるタンパク質である。

【分子量】
18,798.88 

【剤形】
注射剤、プレフィルドシリンジ製剤

【性状】
無色澄明の液

【投与経路】
皮下投与、静脈内投与

【主な効能または効果】
・造血幹細胞の末梢血中への動員
・造血幹細胞移植時の好中球数の増加促進
・がん化学療法による好中球減少症
・ヒト免疫不全ウイルス(HIV) 感染症の治療に支障を来す好中球減少症
・骨髄異形成症候群に伴う好中球減少症
・再生不良性貧血に伴う好中球減少症
・先天性・特発性好中球減少症

【薬効薬理】
薬理作用
(1)好中球数増加作用
1)好中球前駆細胞の分化・増殖促進作用、成熟好中球の骨髄からの放出作用in vitro コロニー形成試験において、マウスの骨髄細胞を本剤存在下で培養するとき、本剤は好中球前駆細胞の分化・増殖作用を有する。また、シクロホスファミド投与による好中球減少マウスに本剤を投与するとき、末梢血好中球数の減少は防止され、骨髄中では骨髄芽球から成熟好中球まで順を追って有意な増加が認められた。ラットに本剤を投与するとき骨髄中の成熟好中球の末梢血への放出促進効果が推測される。
2)造血幹細胞の末梢血中への動員
正常及び抗癌剤投与マウスに本剤を投与するとき末梢血中のCFU-GM、BFU-E、CFU-Mk及びCFU-Mix の増加が認められた。
3)好中球減少動物モデルでの薬理作用
マウス、ラット、イヌ及びサルを用いた好中球減少動物モデル(抗癌剤投与、造血幹細胞移植、遺伝性好中球減少症)において、好中球数の増加効果が認められた。
(2)好中球機能亢進作用
マウスを用いたin vitro 及びex vivo 試験において、本剤投与により貪食殺菌能の亢進が認められた。ラットを用いたin vitro 及びex vivo 試験において、本剤投与により好中球遊走能の亢進が認められた。 また、健常人の末梢血好中球を本剤存在下で培養するとき、FMLP刺激によるスーパーオキサイド産生亢進が認められた(in vitro)。悪性リンパ腫患者のがん化学療法施行後に本剤を投与するとき、単離した末梢血好中球において、FMLP刺激によるスーパーオキサイド産生亢進が認められた(ex vivo)。
作用機序
マウス骨髄細胞、ヒト好中球に対する受容体結合試験により、本剤は好中球前駆細胞から成熟好中球までの細胞に存在する受容体に特異的に結合し、好中球前駆細胞に対してはその分化・増殖を促進させ、成熟好中球に対してはその機能を亢進させると推察される。


<情報はグラン注射液・グランシリンジ添付文書および医薬品インタビューフォームより>