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エタネルセプト(遺伝子組換え)


【一般名】
エタネルセプト(遺伝子組換え)
Etanercept (genetical recombination)

【解説】
チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)を利用した遺伝子組換えにより産生された、ヒトIgG1のFc領域と分子量75kDa(p75)のヒト腫瘍壊死因子II型受容体(TNFR-II)の細胞外ドメインのサブユニット2量体からなる糖タンパク質である。

【分子量】
約150,000

【剤形】
凍結乾燥注射剤(エンブレル皮下注用10mg/エンブレル皮下注用25mg)
水性注射剤(エンブレル皮下注25mgシリンジ0.5mL/エンブレル皮下注50mgシリンジ1.0mL)

【性状】
白色の塊(凍結乾燥製剤)
無色~微黄色澄明の液(水性注射剤)

【投与経路】
皮下注

【主な効能又は効果】
関節リウマチ(既存治療で効果不十分な場合に限る)

【薬効薬理】
1. 関節炎抑制作用
(1) ラット抗原誘発関節炎モデル
エタネルセプトはラット抗原誘発関節炎モデルに対して、5 μg/joint以上の関節内投与により膝関節腫脹を抑制し、関節炎スコアを改善した。
(2) マウスII型コラーゲン関節炎モデル
エタネルセプトはトリII型コラーゲン関節炎モデルに対して、1 μg/body以上の腹腔内投与により関節炎発症抑制効果を示した。また、150 μg/bodyの腹腔内投与により関節炎及び軟骨破壊のスコアを改善した。ウシII型コラーゲン関節炎モデルに対しては、50μg/bodyの腹腔内投与により、関節炎及び血清中抗II型コラーゲン抗体価を抑制した。ブタII型コラーゲン関節炎モデルに対しても、10 μg/bodyの腹腔内投与により、関節炎発症率を抑制した。
2. 作用機序
本剤は、ヒトTNF可溶性レセプター部分が、過剰に産生されたTNFα及びLTαを、おとりレセプターとして捕捉し(レセプター結合反応)、細胞表面のレセプターとの結合を阻害することで、抗リウマチ作用、抗炎症作用を発揮すると考えられている。なお、本剤とTNFα及びLTαとの結合は可逆的であり、いったん捕捉したTNFα及びLTαは再び遊離される。
エタネルセプトはU937細胞表面のTNF受容体に対するTNFの結合を阻害した。
解離定数(Ki)=1×10-10M
3. TNFファミリーに対する結合親和性
エタネルセプトはTNFα及びLTαのいずれに対しても結合親和性を有するが、LTβに対する結合親和性は持たない。
4. TNFの細胞傷害に対する抑制作用(in vitro)
L929細胞のTNF誘発細胞傷害に対して、エタネルセプトは10 ng/mL以上の濃度で生細胞数の減少を抑制した。
5. IL-1α併用TNF誘発致死に対する抑制作用(in vivo)
マウスのIL-1α(30 μg/body)併用TNF(3 μg/body)誘発致死に対して、エタネルセプトは
30 μg/body以上の静脈内投与により致死抑制作用を示した。
6. 細胞傷害活性(in vitro)
エタネルセプトは補体依存性の細胞傷害活性を誘導しなかった。

<情報は全てエンブレル皮下注用10 mg/エンブレル皮下注用25mgおよびエンブレル皮下注25 mgシリンジ0.5 mL/エンブレル皮下注50 mgシリンジ1.0 mL 添付文書より>