■ 水道水質検査精度管理
厚生労働省では、水質検査に係る技術水準の把握および向上を目的として、平成12年度から水道水質検査の精度管理に関する調査(水道水質検査精度管理調査)を実施しています(令和6年度より環境省に移管)。
水道水質検査精度管理調査は、以下の機関を対象に実施しています。
- 水道法第20条第3項の規定に基づき厚生労働大臣の登録を受けた水質検査機関(登録検査機関)
- 水道事業者等の水質検査機関
- 衛生研究所等の地方公共団体の機関
(登録検査機関は全機関を対象としています。)
水道水質検査精度管理調査のため、環境省は「水道水質検査精度管理検討会」を設置し、生活衛生化学部 第3室を中心に、実施項目の選定、調査結果の詳細な確認、評価、実地調査・日常業務確認調査等を行っています。
精度管理調査における生活衛生化学部 第3室の役割
生活衛生化学部第3室は、水道水質検査精度管理調査の実施にあたり、水道水質検査精度管理検討会に参画して実施項目の決定に関わっています。統一試料の調製においても、試料作製担当機関と連携して、試料の調製法の検討、安定性試験、参加機関への試料配布を行っています。
さらに、参加機関から報告される測定結果の取りまとめ、データ解析、結果報告書の作成を行い、これらの各過程において環境省 水道水質・衛生管理室と密に情報共有することで、水道水質検査精度管理調査の円滑かつ適正な運営を支援しています。

報告結果の評価の基本的な流れ
1) 集計および解析
- 報告書未提出の機関、無効な測定結果を報告した機関等を除外しします。
- 有効な測定結果を報告した機関を対象に、各機関の測定結果を集計・解析し、中央値、zスコア等を算出します。
- 上記の解析結果や検査方法告示の遵守状況等も踏まえて、無機物試料・有機物試料それぞれについて、参加機関を「第1群」、「第2群」及び「要改善」の3群に分類します。

2) 解析結果の連絡および改善策の報告提出
- 中央値、zスコア等を参加機関に連絡結果を全機関に連絡します。
- 測定値が中央値から一定の範囲外、又は水質検査の実施体制に疑義があると判断された機関には、問題が生じた原因及び改善策について提出を求めます。
- また、測定結果に関して実地調査が必要と判断された登録水質検査機関に対しては実地調査を行います。
参考資料
- 久保田領志,小林憲弘,五十嵐良明:水道水質検査精度管理のための統一試料調査に関する経年分析(平成17~22年度):無機物.水道協会雑誌,84(12), 15–22 (2015).
- 久保田領志,小林憲弘,五十嵐良明:水道水質検査精度管理のための統一試料調査に関する経年分析(平成17~22年度):有機物.水道協会雑誌,85(2), 9–15 (2016).
- 久保田領志,内野正,小林憲弘,五十嵐良明:水道水質検査精度管理のための統一試料調査に関する経年分析:平成23~29年度.水道協会雑誌,89(7), 2–14 (2020).