食の安全性評価に関する研究
食の安全を確保し、国民の健康な生活を守るため、食品添加物や容器包装物質などを対象に、安全性確保に必要な情報として、毒性試験を実施するとともに、国内外の安全性情報を収集・調査し、科学的な安全性評価に取り組んでいます。

PFASの規制に関わる優先付け及び合算評価に資する遺伝子発現解析による有害性評価法の開発
PFASは多種の核内受容体を介して毒性を発現することが推察されており、その分子毒性メカニズムには不明な点が多い。本研究では、複数のPFASに関して、その生体影響を全遺伝子の発現変動として定量し、約160種の化学物質と比較して、PFASの有害性に関わる分子シグナルを明らかにし、毒性予測技術を開発する。

エクソソームを指標とした迅速な新規毒性試験法開発
さまざまな臓器や細胞から分泌される細胞外小胞の一種であるエクソソームには、分泌元の細胞に特徴的なRNAやタンパク質が含まれています。この特性を利用し、腫瘍細胞由来のエクソソームは、がんの早期診断バイオマーカーとして活用されています。第五室では、各臓器から分泌されるエクソソームに含まれるRNAなどを毒性バイオマーカーとして利用することにより、非侵襲的かつ網羅的な次世代型毒性評価法の開発を進めています。

肝毒性評価の高度化に向けた有害性発現経路(AOP)の精緻化
化学物質による肝毒性を予測・評価するため、既存の有害性発現経路(AOP)を体系的に整理し、主要な毒性イベント間の因果関係や時間的なつながりを必要に応じて再検証します。 得られた知見をもとにAOPを精緻化し、動物実験に依存しない新たな評価法(NAMs)を化学物質の安全性評価に活用するための基盤構築を目指します。

生体情報の統合的評価を基盤とした急性毒性試験の高度化
従来の急性毒性試験では、死亡や重篤な毒性徴候を主要な指標としてきましたが、毒性が進行する過程で生じる生理学的変化を十分に捉えることは困難でした。そこで、動物の行動、体表温度、脳波、心電図などの生体情報を連続的かつ統合的に取得・評価し、人健康影響を把握すると共に動物福祉を充足する急性毒性試験代替法の開発を目的とした研究を推進しています。このような評価を実現するシステムとして、ToxQb(トックスキューブ)の開発を進めています。

発生-生後発達期の化学物質曝露による情動認知行動毒性研究
脳の神経回路は、神経シグナルの精緻な制御によって形成されます。私たちは、脳が発達する胎児期から小児期における化学物質の影響に着目しています。さまざまな曝露条件を想定した実験により、行動、神経活動、遺伝子発現の変化を多面的に解析することで、化学物質が中枢神経系に影響を及ぼす仕組みの解明に取り組んでいます。

生殖毒性とその回復性に関する新規 in vitro/in vivo 評価法の開発研究
男児がん生存者に対する妊孕性温存療法は未確立のため、がん生存者は生殖能の回復を待たねばなりません。毒性部では、小動物用MRIを用いた精巣の非侵襲的評価法、器官培養法、次世代の遺伝情報を担う精子の品質評価法の開発と本法の毒性試験への適用範囲を明らかにすることを目的としています。本研究を通じて、抗がん剤投与後に必要な避妊期間の科学的エビデンス提供に資する非臨床試験の迅速化・高度化に貢献します。

統合的ヒト健康リスク評価系の構築
問題の定式化に基づき適切なNAMsを選択・適用して評価を進め、それらのみでは評価に十分な情報が得られない場合に従来の動物試験(in vivo)を実施するという、階層的な「統合的ヒト健康リスク評価系」の構築を目指している。




