設立趣旨

 自然毒であるカビ毒の食品への汚染を防止することや食品から除去することは極めて困難であるといわれています。 そのため、ヒトへのカビ毒による健康被害を防ぐ には、生産国では農業規範を守り、カビ毒の汚染しやすい環境をつくらないこと、輸入国では基準値設定をして、カビ毒摂取を最小限に抑えることが最も効果的な方法です。輸 入食品への依存度の高いわが国としては、積極的に今後健康被害が予測されるカビ毒に対しての基準値策定などが望まれます。
 法律規制が伴う基準値には、その分析値を担保するため、分析法の妥当性を評価することが必要になります。また、国際的な動きとして、実態調査を行うにもバリデーション のとれた分析法が必要となってきております。  そのため、今後策定されるカビ毒分析法が、国際的に充分通用する分析法であるかを評価するための「カビ毒試験法評価委員会」を、厚生労働科学研究費補助金「食品の安全 ・安心確保推進研究事業・カビ毒を含む食品の安全性に関する研究」(研究主任者 小西良子、平成19年度~平成21年度)の一環として立ち上げました。
 この委員会で用いる評価方法は、2005年に設立した「食品からの微生物検査標準法検討委員会」で培った方法を踏襲しています。 食品からの微生物検査標準法検討委員 会は食品の細菌検査に関係する専門家を集め、食品の微生物検査法はどうあるべきかを議論し、その基礎となる標準検査法作成のガイドラインを作成し、今後の食品の細菌検査 の方向性を示すための委員会ですが、本委員会は、食品のカビ毒分析および統計解析の専門家を集め、将来我が国で基準値が設定された場合に通知法となりえる方法または実態 調査に用いられるカビ毒試験法の妥当性を科学的にオーソライズする委員会です。

委員会名簿

  • 2016~2018年度
      委員長        中島 正博 (名古屋市衛生研究所)
      分析法委員     田中 敏嗣 (元 神戸市環境保健研究所)
      分析法委員     永山 敏廣 (明治薬科大学)
      分析法委員     田端 節子 (東京都健康安全研究センター)
      分析法委員     青山 幸二 ((独)農林水産消費安全技術センター(FAMIC))
      バリデーション委員 森 曜子 (公社)日本食品衛生協会
      バリデーション委員 藤田 和弘 (一財)日本食品分析センター
      作業部会       小西 良子 (麻布大学)
      作業部会       吉成 知也 (国立医薬品食衛生研究所)

      事務局は作業部会も兼ねており、分析法のプロトコールなどのコラボラティブスタディに用いる試料の調製、配付ータ収集などを行う。事務局は評価には関与しない。
  • 評価までの流れ

    1. 委員会に属する作業部会委員がプロトコール案を作成し、委員会に提出します。
    2. 委員会はプロトコールのプレビューをし、必要な修正を申し出ます。
    3. 作業部会はプロトコールを修正し、国立医薬品食品衛生研究所のWebページに掲載し、一般からのパブリックコメントを求めます。
    4. パブリックコメントを委員会が検討し、必要であれば適切な修正を申し出ます。これらの修正がなされたプロトコールを最終的なものとしてWebページに掲載し、 一般からのコラボラティブスタディ参加機関を募ります。
    5. 作業部会が試料などを調製し、コラボラティブスタディを実施します。
    6. 結果を作業部会がまとめ、委員会に提出します。
    7. 委員会は、その結果をもとに分析法の妥当性の有無を評価します。
    8. 妥当性があると評価された方法はWebページに公開されます。