生活衛生化学部 カルタップ・ピラクロニル・フェリムゾン妥当性評価SOP

カルタップ・ピラクロニル・フェリムゾン 妥当性評価SOP

LC/MS/MSによる一斉分析法(別添方法20の2)

1. 試薬

  • (1) チオ硫酸ナトリウム
  • (2) 酢酸アンモニウム
  • (3) 精製水
    • 測定対象成分を含まないもの.
  • (4) メタノール
    • 測定対象成分を含まないもの.
  • (5) ネライストキシン標準原液
    • ネライストキシンしゅう酸塩標準品(C5H11NS2・C2H2O4)16.0 mgを秤量して100 mLメスフラスコに採り,メタノールに溶かして定容したもの.ネライストキシンを100 mg/L含む.
    • ※カルタップはその分解物であるネライストキシンを測定し,カルタップの濃度に換算する.
  • (6) ピラクロニル標準原液
    • ピラクロニル標準品10 mgを秤量して10 mLメスフラスコに採り,メタノールに溶かして定容したもの.ピラクロニルを1000 mg/L含む.
  • (7) フェリムゾン(E+Z)標準原液
    • フェリムゾン(E)およびフェリムゾン(Z)をそれぞれ5 mgずつ秤量して同じ10 mLメスフラスコに採り,メタノールに溶かして定容したもの.フェリムゾン異性体の和(E+Z)として1000 mg/L含む.
  • (8) ピラクロニル標準液
    • ピラクロニル標準原液の100 μLを10 mLメスフラスコに採り,メタノールを加えて定容したもの.ピラクロニルを10 mg/L含む.
  • (9) フェリムゾン(E+Z)標準液
    • フェリムゾン(E+Z)標準原液の100 μLを10 mLメスフラスコに採り,メタノールを加えて定容したもの.フェリムゾン(E+Z)を10 mg/L含む.
  • (10) 農薬混合標準液A
    • ネライストキシン標準原液の100 μL,ピラクロニル標準液の50 μL,フェリムゾン(E+Z)標準液の250 μLを同じ10 mLメスフラスコに採り,メタノールを加えて定容したもの.
    • ネライストキシンを1 mg/L,ピラクロニルを50 μg/L,フェリムゾン(E+Z)を250 μg/Lずつ含む.
  • (11) 農薬混合標準液B
    • 農薬混合標準液Aの1 mLを10 mLメスフラスコに採り,メタノールを加えて定容したもの.
    • ネライストキシンを100 μg/L,ピラクロニルを5 μg/L,フェリムゾン(E+Z)を25 μg/Lずつ含む.

2. 水道水添加試料の調製

  • (1) ねじ口瓶に水道水を1 L採取し,チオ硫酸ナトリウム10~20 mgを加えてよく撹拌し脱塩素処理を行う.
  • (2) 以下の操作により,各農薬濃度が目標値の1/100および1/10となるように水道水添加試料を調製する(表1参照).
    • ●各農薬濃度が目標値の1/100の添加試料:農薬混合標準液Bの200 μLとメタノール300 μLを10 mLメスフラスコに採り,脱塩素処理した水道水を加えて定容する.
    • ●各農薬濃度が目標値の1/10の添加試料:農薬混合標準液Aの200 μLとメタノール300 μLを10 mLメスフラスコに採り,脱塩素処理した水道水を加えて定容する.
  • (3) 空試験の試料として,メタノール500 μLを10 mLメスフラスコに採り,脱塩素処理した水道水を加えて定容した試料を用いて,添加試料と同様に以下の「3. 分析」の操作を行う.

表1. 水道水添加試料中の各農薬濃度(単位:μg/L)

対象物質 1/100目標値の添加試料 1/10目標値の添加試料
ネライストキシン  2 20
ピラクロニル 0.1 1
フェリムゾン(E+Z)  0.5 5

3. 分析

  • (1) 添加試料および空試験試料の一定量をLC/MS/MSの測定用バイアルに移し,表2の測定条件を参考に,LC/MS/MSに注入する.
  • ※各濃度において試料は5回試験を行い,試験結果を報告書に記載する.
  • (2) 各農薬のモニターイオンのピークの保持時間が標準物質と一致することを確認し,ピーク面積を求める.
  • (3) (2)で求めた各農薬のモニターイオンのピーク面積から,空試験のピーク面積を差し引いた後,下記「4. 検量線の作成」の操作により得られた検量線を用いて添加試料中の各農薬濃度を求める.

表2. LC/MS/MS測定条件の例

機器 項目 設定値
LC 
    
分離カラム  Shim-pack FC-ODS (2.0 mm×150 mm, 粒径3 μm,島津製作所)
InertSustain C18(2.1 mm×150 mm, 粒径3 μm,ジーエルサイエンス)
L-column2 ODS(2.1 mm×150 mm,粒径2 μm, 化学物質評価研究機構)
カラム温度 40~60℃ 
移動相A 5 mM酢酸アンモニウム水溶液
移動相B 5 mM酢酸アンモニウムメタノール溶液
グラジエント条件 B5% (0 min) – B45% (4 min) – B75% (24–27 min) – B5% (27.1–40 min)
移動相流量 0.2 mL/min 
注入量 10~100 μL
MS/MS イオン化法 ESI(正イオン測定モード) 
モニターイオン(m/z) ネライストキシン:150>61, 150>105
ピラクロニル:315>169, 315>241
フェリムゾン(E+Z):255>91, 255>132

4. 検量線の作成

  • (1) 以下の操作により,表3に示す濃度の検量線用STD1~6を調製する.
    • ●STD1 :農薬混合標準液Bの100 μLとメタノール400 μLを10 mLメスフラスコに採り,精製水を加えて定容する.
    • ●STD2 :農薬混合標準液Bの200 μLとメタノール300 μLを10 mLメスフラスコに採り,精製水を加えて定容する.
    • ●STD3 :農薬混合標準液Bの500 μLを10 mLメスフラスコに採り,精製水を加えて定容する.
    • ●STD4 :農薬混合標準液Aの100 μLとメタノール400 μLを10 mLメスフラスコに採り,精製水を加えて定容する.
    • ●STD5 :農薬混合標準液Aの200 μLとメタノール300 μLを10 mLメスフラスコに採り,精製水を加えて定容する.
    • ●STD6 :農薬混合標準液Aの500 μLを10 mLメスフラスコに採り,精製水を加えて定容する.
  • (2) 検量線用STDのブランクとして,メタノール500 μLを10 mLメスフラスコに採り,精製水を加えて定容した試料を調製する.
  • (3) 上記(1)および(2)で調製した検量線用STDおよびブランクSTDを,「3. 分析」の操作によって試料溶液と同様に分析し,各農薬の検量線を作成する.
  • ※検量線は繰り返し測定(n=3~5)を行い,各濃度の再現性 (RSD)および検量線の直線性を確認する.

表3. 検量線STD中の各農薬濃度(単位:μg/L)

対象物質 STD1 STD2 STD3 STD4 STD5 STD6
ネライストキシン  1 2 5 10 20 50
ピラクロニル 0.05 0.1 0.25 0.5 1 2.5
フェリムゾン(E+Z)  0.25 0.5 1.25 2.5 5 12.5

関連情報

  • 小林憲弘,久保田領志,水田裕進,木村慎,木村謙治,宮﨑悦子,植田紘行,齋藤信裕,加登優樹,古川浩司,粕谷智浩,岩間紀知,髙原玲華,林田寛司,塚本多矩,五十嵐良明:水道水中のカルタップ・ピラクロニル・フェリムゾンLC/MS/MS一斉分析法の開発と妥当性評価.水道協会雑誌,印刷中.