令和6年度調査における評価方法(案)
1. Grubbs検定の実施について
- 令和6年度調査では、平成30年度以降の調査と同様にGrubbs検定を行わず、検査方法告示で規定されている真度の範囲(有機物試料は中央値±20%)を「良好」とする予定です。
- 過去に実施していたGrubbs検定(5%)で棄却された値を要改善とした場合、母集団(参加者)の分布によって評価結果が異なるため、年度・試料・ロット間で公平な評価ができないと考えられるためです。
- 反対に、Grubbs検定で棄却されなかったとしても、中央値±20%の範囲外の値を「良好」とは評価できないため、平成30年度調査からこのような評価方法に改められました。
- なお、有効な測定結果を提出した全機関の結果に対してzスコアを算出して通知する予定です。
平成29年度までの調査と平成30年度以降の調査の評価フローの比較
2. zスコアの算出方法
- 「JISQ17043:2011 (ISO/IEC 17043:2010)適合性評価 技能試験に対する一般要求事項」によると、zスコアは以下のように計算できます。
z = (x-X) / σ
x: 参加者の結果、X: 付与値、σ: 技能試験の標準偏差
ここで、X(付与値)は、中央値を用いることができます。
また、JIS Z 8405に記載されているように、σは、次から計算することができます。
・専門家の判断又は規制の指示(規定値)で決められるパフォーマンスの最終目的適合性
・技能試験の以前のラウンド又は経験(認識による)に基づく予想から得られる推定値
・統計モデル(一般的モデル)から得られる推定値
・精度実験の結果
・参加者の結果、すなわち参加者の結果に基づく伝統的な又はロバストな標準偏差
- 令和6年度調査では、H29年度まで調査で用いていた「参加者の結果」からではなく、H30年度以降の調査と同様に「専門家の判断又は規制の指示(規定値)で決められるパフォーマンスの最終目的適合性」からσを計算する予定です。
- 「専門家の判断又は規制の指示(規定値)で決められるパフォーマンスの最終目的適合性」は、水道水質検査では有機物試料は真値±20%と考えられます。
例えば、有機物試料では中央値±3σ(報告値の99.73%)が中央値±20%となる正規分布を仮定すると、σ=中央値×0.2/3となります。すなわち、報告値が中央値±20%である時、|z|=3となります。
有機物試料のzスコア算出におけるσの計算