研究内容(第3室)

1. 一次粒径6 nmのナノ2酸化チタンはラットへの経口投与による毒性影響は示さなかった(2室との共同研究)

国内で入手可能な最小径のアナターゼ型2酸化チタンの90日間反復経口投与において、1000mg/kg 体重/日の用量まで、血液生化学検査、病理組織学的検査等に毒性影響は見られなかった。小腸のパイエル板に2酸化チタンの凝集物の沈着が認められたが、炎症及び組織障害は伴っていなかった。また、肝細胞の小核形成及び肝細胞やパイエル板のチタン沈着部位にγ-H2AX陽性のDNA損傷細胞の増加は見られなかった。(Part. Fibre. Toxicol., 20: 23, 2023

2. ラットを用いた肝臓に対する発がん性の早期評価法開発 (2室との共同研究)

28日間反復投与毒性試験病理標本を用いてDNA損傷マーカーであるγ-H2AXによる評価を肝臓に適応したところ、約60%程度の検出力であったため、肝幹細胞マーカーによる補完を試みた。(J Toxicol Sci., 48: 323-332, 2023; Cancer Sci., 114: 4763-4769, 2023

3. ナノ銀のサイズによって異なる急性毒性に関する研究

ナノ銀(AgNP)の腹腔内投与による急性毒性において、粒子のサイズが小さい程、強い毒性を示した。現在、そのメカニズムに関しては探索中である。(J. Toxicol. Pathol., 31:73-80, 2018)

4. 損傷乗り越え型DNAポリメラーゼ イータ・イオタ・カッパ三重欠損細胞を用いた新規遺伝毒性試験法の研究 (DNA Repair, 61:76-85, 2018)