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議事概要及び公開資料

第31回ジェネリック医薬品品質情報検討会

1.開催日時等

日時:令和5年10月16日(月) 14:00-16:10
場所:AP虎ノ門 Room A 及び Web

2.出席者等(敬称略)

  出席委員(14名):

本間正充(座長)、宮川政昭、澤木康平、橋場元、東光久、荒戸照世、伊豆津健一、伊藤清美、
大谷壽一、奥田晴宏、南博信、武藤正樹、守安貴子、渡邊善照

  欠席委員 (1名):

石井伊都子

  参考人:

大田直樹(日本製薬団体連合会)、佐藤岳幸、浅見宗俊(日本ジェネリック製薬協会)、
永井祐子(日本バイオシミラー協議会)

  事務局:

国立医薬品食品衛生研究所: 齋藤嘉朗(副所長)、佐藤陽治、吉田寛幸、小出達夫、坂本知昭、
阿部康弘、森田時生(薬品部)、石井明子、橋井則貴、柴田寛子、
日向昌司(生物薬品部)
国立感染症研究所    : 鈴木里和(薬剤耐性研究センター)、星野泰隆(真菌部)
厚生労働省       : 中井清人、美上憲一、林亜紀子、杉山真麻子、竹野伸洋、湯本貴文(医薬品審査管理課)、藤井大資、桝田昂志(監視指導・麻薬対策課)、高橋淳子(医薬安全対策課)
医薬品医療機器総合機構 : 蛭田浩一、佐野幸恵、小川卓巳(ジェネリック医薬品等審査部)、
栗林亮佑、大滝尚広(再生医療製品等審査部)、北原淳、杉浦方紀、
木村絵梨、前川佳子、樋口優紀子(安全性情報・企画管理部)

3.審議概要

 (1)開会

委員14名の出席で開催された。
規定に基づき、国立医薬品食品衛生研究所の本間正充所長が座長に就任することが報告された。
新たな委員として就任した大谷壽一委員、南博信委員、伊豆津健一委員の3名が紹介された。

 (2)第28回検討会で検討対象となった製剤の溶出試験結果について

 第28回ジェネリック医薬品品質情報検討会(令和4年2月)において選定・了承された11品目(フェノフィブラート錠、ビカルタミド錠、アズレン・グルタミン顆粒、テオフィリン錠、テオフィリンドライシロップ、シロドシン錠、メトホルミン塩酸塩錠、アモキシシリンカプセル、アモキシシリン細粒、ミノドロン酸錠、エンテカビル錠、ホリナート錠、タダラフィル錠)について製剤試験ワーキンググループ(製剤試験WG)にて、複数試験液を用いた溶出挙動の検討を行い、その結果が資料31-1のように報告された。
 メトホルミン塩酸塩錠 500 mg については、pH1.2、pH 3.0、pH 5.0 の試験液において、それぞれ一製剤が先発品の溶出挙動と類似の範囲外であったが、いずれも承認時に先発品と溶出挙動が非類似で、生物学的同等性(BE)試験により同等性が確認され承認されていることが報告された。委員より、pH 3.0 の試験液において溶出性が先発品と非類似であった製剤とよく似た溶出挙動を示すが、非類似の判定とならなかった製剤についての質問があった。事務局にて確認したところ、当該製剤も同様に承認時の溶出挙動が先発品と非類似で、BE試験により同等性が確認された製剤であった。
 タダラフィル錠 5 mg については、水を試験液としたときに、一製剤の溶出が先発品と比較して遅く、類似の範囲になかった。当該メーカーより、開発時のBE試験に用いられた自社製品のロットと比較して類似の範囲にあることが確認された。また、他ロットと比較して溶出が遅めの傾向ではあるものの、溶出規格に適合しており、品質に問題がないとの回答が報告された。
 その他、製剤試験WGにおける溶出試験の試験時間の設定根拠やラグ補正に関して、委員より確認があり、事務局より、BE試験ガイドラインに従った方法であることが説明された。
 以上の内容について確認され、了承された。

 (3)製剤試験WG において検討した製剤の再試験結果

 第11回ジェネリック医薬品品質情報検討会(平成25年10月)において品質課題が指摘され、企業による品質改善が実施されたベザフィブラート徐放錠の再試験結果が報告された。いずれの製剤も先発品またはオレンジブックの溶出と類似の範囲にあり、適切な改善がなされていることが確認された(資料31-2)。
 委員より、平成25年の報告以降、現在までの当該製剤の出荷状況、および、改善対応に時間を要した理由についての確認があり、事務局より、当該製剤は製剤試験ワーキンググループにおいて溶出性が非類似と判定されたものの、すべての製品が出荷時に溶出規格を満たしていることを確認した上で出荷されており、出荷停止等の対応はとられていない旨が説明された。また、先発品の対応は早かったものの、後発品の改善に時間を要したことが説明された。
 以上の内容について確認され、了承された。

 (4)学会等での発表・研究論文について

 後発医薬品及びバイオシミラーに関して、令和4年度下半期の文献及び学会発表(資料31-3資料31-4)について報告された。
 ケトプロフェン貼付剤の使用後製剤の薬物残存量について、先・後発品間の差異を指摘する論文発表が報告された。事務局より、開発時期が古い製剤で放出性が規格試験に設定されていないため、製剤からの薬物放出特性が承認時から変化しているかの確認は困難であるとの説明がなされた。一方で、現在放出性が規格として設定されていない場合でも、メーカーが情報を収集し品質の一貫性を担保することが重要である旨が説明された。委員より、経口固形製剤で溶出試験規格を設定する品質再評価を実施したように、皮膚適用製剤においても、薬物放出性を指標とした品質再評価を実施することも検討の余地があるとの意見があった。
 タクロリムス軟膏の有害事象に関係する添加剤と性状の影響に関する学会報告については、委員より、皮膚適用製剤の流通中の特性変化については多数報告があり、一般的な使用方法の範囲において問題が生じない程度に、メーカーは流通時の品質特性の変化について慎重に考慮するべきであるとの意見が出された。業界団体より、流通時の特性変化に関する留意事項について、関連委員会を通じて情報を共有していくことが説明された。
 バイオシミラーについても問題指摘文献について議論がなされた結果、検討会で追加検証を要する事項はなかったが、今後も品質・安全性に関わる情報の収集に努めることが確認された。
 以上の内容について、確認され了承された。

 (5)(独)医薬品医療機器総合機構の後発医薬品相談窓口相談について

 令和4年度下半期の医薬品医療機器総合機構への相談内容について報告された(資料31-5)。
 相談内容のうち「漠然とした不安」が常に一定数あり、後発医薬品の普及を推進するためには、検討会において個々の事例を具体的に検討していくことが重要であることが指摘された。
 また、委員より全相談内容のうち、後発医薬品に関する相談の占める割合について質問があった。医薬品医療機器総合機構より、相談の割合は平成25年ごろには約6%を占めていたが、年々減少傾向にあり、現在は約2%であると説明があった。
 以上の内容について、確認され了承された。

 (6)イトラコナゾール製剤の溶出性の確認状況について

 第28回ジェネリック検討会において、先発品の溶出挙動のばらつきを抑える対応が完了したことが報告されたことを受け、イトラコナゾール製剤の先発品及び後発品の溶出挙動の確認が行われた(資料31-6)。
 先発品については、溶出性が改善し、品質再評価時の溶出曲線(オレンジブック曲線)に相当するロット及びオレンジブック曲線と同等の範囲にあることが確認された。
 後発品については、一部の製品を除き、開発時の製剤と類似または同等の溶出挙動を示すことが確認された。非類似だった製剤は溶出規格には適合していたことから現在も流通しているが、メーカーにより溶出率が低い原因の究明と溶出挙動の改善が検討されることとなった。
 委員より、2006年頃より先発品の溶出が早くなった要因について質問があった。事務局より、溶出性のばらつきが生じた要因については、メーカーの調査において、コーティング剤のヒプロメロースと溶出性の相関が判明し、ヒドロキシプロポキシ基の置換度を管理することで、今回の品質改善がなされたことが説明された。
 以上の内容について、確認され了承された。

 (7)検討会の名称について

 本検討会は後発医薬品の品質および信頼性の向上のために重要な役割を担っていることに加えて、バイオシミラーについても同様に品質及び信頼性の向上のための検討を行っている。「経済財政運営と改革の基本方針2022」の中でバイオシミラーの利用促進の方針が述べられ、その普及に向けた具体的な数値目標が令和5年度に厚生労働省より公表された (資料 31-7-131-7-2)。このことを受け、バイオシミラーの品質確保と普及推進のために本検討会がバイオシミラーについても検討の対象としていることを明示することが重要であるとの考えが確認された。そこで、本検討会の名称を「ジェネリック医薬品・バイオシミラー品質情報検討会」と改称することが提案され、了承された。

 (8)その他

 ブルーブックのホームページ掲載状況(参考資料1)、及び後発医薬品品質情報 No.16 の発行について報告された (参考資料2)。
 事務局より、第28回検討会で報告された、ケトプロフェン含有テープ剤における有効成分の結晶析出事例について、メーカーにおいても同様に結晶の析出が確認され、処方の変更を検討するとの回答があったことが報告された。今後、検討会の中で改善状況について情報共有を行うことが説明された。
 委員より、GMP 査察関連の課題事項を検討会の中で報告することを実施してはどうかとの提案があった。厚生労働省監視指導・麻薬対策課より、現在GMP 査察で報告された品質問題について、その分析や公表の在り方に関して議論を行っていることが報告された。今後、議論がまとまった段階で本検討会において定期的に報告することを念頭に検討することが説明された。

4.提出資料

資料名
議事次第 PDF
ジェネリック医薬品品質情報検討会メンバー PDF
3 資料31-1 第28 回検討会で検討対象となった製剤の溶出試験結果 PDF
4 資料31-2 製剤試験WG において検討した製剤の再試験結果 PDF
5 資料31-3-1 後発医薬品文献調査報告書(概要) PDF
6 資料31-3-2 後発医薬品文献調査結果のまとめ PDF
7 資料31-3-3 後発医薬品問題指摘論文集(著作権の関係で掲載できません)
8 資料31-4-1 バイオシミラー文献調査報告書(概要) PDF
9 資料31-4-2 バイオシミラー文献調査結果のまとめ PDF
10 資料31-4-3 バイオシミラー問題指摘論文集(著作権の関係で掲載できません)
11 資料31-5 医薬品医療機器総合機構後発医薬品相談受付状況 PDF
12 資料31-6 イトラコナゾール製剤の溶出性の確認状況 PDF
13 資料31-7-1 後発医薬品のさらなる使用促進のためのロードマップ(概要)(平成25 年4 月5 日) PDF
14 資料31-7-2 バイオシミラーに係る政府方針
https://www.mhlw.go.jp/content/001095684.pdf
15 参考資料1 令和5 年7 月5 日時点ブルーブック掲載状況 PDF
16 参考資料2 後発医薬品品質情報No.16 PDF