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LastUpdate:2016/3/31
 
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内分泌かく乱化学物質の健康影響に関する検討会
中間報告書追補その2

 

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   暴露した魚を摂取した妊婦集団、一般人口集団については、Lake Michigan、オランダ、スペインの研究では、出生前暴露が児の神経発達等との間に負の関連性が見られるが、母乳は、化学物質の悪い影響に対してむしろ拮抗する作用がみられるとされている。また、オランダやドイツの研究においては、出生前暴露が児の神経発達等との間に負の関連性が見られるが、良好な家庭環境がその負の影響に拮抗する可能性があると報告されている。また、Daniels ら(2003)の研究においては、研究センターによって結果が違っており、これは食物、水銀・鉛の暴露などの今回測定していない特性に関連している可能性があるかもしれないと報告している。また、Riva らは(2004) は調整後、初乳中のPCBs と12 ヶ月での視覚機能に関連がなかったとしている。このように、暴露した魚を摂取した妊婦集団、一般人口集団における追跡結果、ともに出生前暴露と児の神経発達等との間には負の関連性が見られる報告が多いが、必ずしも一致した見解が得られていない。また、乳幼児期に負の関連性が認められていても、学齢期にはその影響が改善する傾向が認められ、母乳保育や家庭環境が化学物質による負の影響を改善する要因と推定されるが、何がどのように改善するかは明確にはなっていない。
 環境喫煙(ETS)、多環式芳香族炭化水素(PHA)や有機リン酸系殺虫剤による出生前暴露の影響について、児の出生児体重、身長、頭囲、及び児の注意機能に関して断面研究、症例対象研究がおこなわれている。また、母乳中ジクロロジフェニルトリクロロエタン(DDT)濃度と生徒から得た精神判断能力との関連では、有意な負の関連性が認められ、知的発達遅滞児の比率と正の相関が認められている。その結果、いずれも研究においても、児の発達に負の影響を示していた。
 以上のように、PCB類や農薬など化学物質と小児神経発達との関連についてはコホート研究の追跡が進み、新たな疫学研究の知見が増えている。しかし、暴露指標としての測定物質は、研究間で相当異なっており、また児の神経発達指標などアウトカムの測定も研究によりそれぞれ違いがあり、暴露濃度と影響の関係について、明確な因果関係は評価することは現時点ではできなかった。また、日本人集団での研究報告はいまだ全くなかった。したがって一般日本人妊婦集団を対象に妊娠中からたちあげ、乳児期から学齢まで縦断的に行う調査を早急に進めるとともに、胎児期、出生後のPCB・ダイオキシン類暴露との関連を検討すること、加えて児の神経発達に影響を与えそうな多くの環境化学物質、また児を取り巻く生活環境について総合的に神経精神発達との関連を検討できる前向きコホート研究デザインで実施する必要がある。

〔参考文献〕

〔表2−10−1 内分泌かく乱化学物質と小児神経発達に関するコホート研究〕

 
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