生薬部の所掌の概要は、生薬及び生薬製剤及び麻薬等に関する試験、検査及びこれらに必要な研究をつかさどることです。天然物医薬品の標準化と麻薬・違法薬物の規制に関する厚生労働行政を科学研究面より直接的に支援する部署は我が国で当部だけであり、我々はその重責を自覚しつつ、国民の健康の維持、向上に寄与することを第一義に考えて研究業務に励んでいます。
第一室・第二室において、天然物医薬品の品質及び有効性・安全性の確保並びに公定書や承認基準への標準化を担当し、第三室において、麻薬及び乱用薬物等の規制・取り締まりに関する業務を担当しています。第一室と第二室の切り分けは、前者が原料生薬、後者が製剤を扱うこととしていますが、両者はよく協力し、一丸となって天然物医薬品関連の業務に取り組んでおります。また、食薬区分、リスク区分、機能性表示食品、指定成分等含有食品、無承認無許可医薬品等に関連する業務にも対応しています。これらの業務の遂行には、国際的な情報共有及び連携が必須であり、天然物医薬品及び法規制薬物の両分野ともに国際活動に力を入れております。
上述の通常業務に加えて、国民の健康に重大な影響を及ぼす突発的事案に即応し得る態勢を整備し、関連部署と緊密に連携しつつ対応して参りました。直近では、「バルサルタン製剤における発がん物質の検出に対する対応」(平成30年)、「ハーボニー配合錠偽造薬流通事案への対応」(平成29年)、「危険ドラッグの乱用の根絶のための緊急対策への対応」(平成26年)等を挙げることができます。
さらに、我々が関与する厚生労働行政関連の動向について、科学研究の側面より国民及び諸外国関係者の理解を助けるため、学会、シンポジウム、特別講義等における社会貢献活動にも積極的に取り組んでいます。