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内分泌かく乱化学物質の健康影響に関する検討会
中間報告書追補その2

 

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  4.農業従事
 農作業によって尿道下裂のリスクが増す(Krintensen,1997)という報告とそれを否定するもの(Weidner,1998)がある。
 Weidner ら(1998)はデンマークの人口登録、患者登録、不妊症データベースのリンクによって、両親の農業従事と尿道下裂・停留精巣の発生の関連をみる症例対象研究(尿道下裂1,345、対照:23,273)を行なった。1983 から1992 年に生まれた児において、母親の農業従事、農業と園芸業従事で停留精巣児が出生するリスクの増加が認められたが、尿道下裂では両親の農業・園芸業のいずれでも有意なリスク上昇を認めなかった(母親の農業・園芸業: OR; 1.27 (95%CI; 0.81-1.99)、父親の農業・園芸業: OR; 1.1927(95%CI; 0.96-1.49))。
 Krintensen ら(1997)は、ノルウェイの出生登録、人口登録、農業登録のリンクから症例対照研究(先天奇形5,607、尿道下裂270、対照253,768)を行い、農業・畜産業従事者に種々先天奇形が生まれるリスクを報告した。この研究においても、1967・1991 に生まれた児で、農業・畜産業従事では尿道下裂のリスクの上昇は認められなかった(OR; 1.00(95%CI; 0.75-1.34)。しかし、トラクターでの農薬散布、トラクターでの農薬散布+穀類生産で尿道下裂児出生のOR 上昇が認められ、農薬暴露との関連が認めた。(それぞれのOR は、1.38(95%CI; 0.95-1.99)、1.51(95%CI; 1.00-2.26))。この他に、停留精巣でも農薬との関連を認めた。
5.廃棄物処分場
 Dolk ら(1998)は、ヨーロッパ5カ国21 廃棄物埋め立て施設周辺に居住する母親を対象として、症例対象研究を行い、先天奇形と廃棄物埋め立て施設との関連について報告している(全先天奇形1,089、尿道下裂45、対照2,366)。処分場から3km 以内に住居する母親からの先天奇形出生リスクは、処分場から3-7km に居住する母親からのリスクより高く、尿道下裂についても上昇傾向が認められた(OR(95%CI):1.96(0.98-3.92))。
6.環境汚染
 イタリアのシチリア島の産業都市で、精油所・石油副産物の化学製品工場が多くHydrocarbon暴露の可能性の高いAugusta、農業都市であり温室栽培が盛んでPesticide 暴露の可能性の高いVittoria で出生した尿道下裂児と、比較的暴露が少ないと考えられる商業都市Catania で出生した尿道下裂児について、症例対照研究を行った。それによると、Augusta の発生率は、12.1 人/1000 男児出生、Vittoria の発生率は、7.4 人/1000 男児出生であり、イタリア・シチリア島の有病率から計算された期待有病率を基に比較すると、各々RR=3.8 (95%CI=2.16-6.14)、RR=2.3(95%CI=1.48-3.43)であった。Catania の発生率は1.7 人/1000 男児出生であった。Augusta、Vittoriaにおける、ポアソン分布に基づき全出生を対象とした予測値からの差は、統計学的に有意であった(Augusta:P=0.00003, Vittoria:P=0.04)。さらに、父親の職業性暴露についてオッズ比の上昇がみられ、Augusta(精油所での労働)ではOR=5.5 (95%CI=1.22-24.7)、Vittoria(温室での労働)ではOR=2.9 (95%CI=1.01-8.55)であった(Bianca 2003)。

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