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内分泌かく乱化学物質の健康影響に関する検討会
中間報告書追補その2

 

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   Bloom ら(2001)はNew York State Angler Cohort Stury(ニューヨーク州の釣り師コホート研究)の登録者から選択したスポーツマン66 例のサンプルについて、環境中の有機塩素系化合物と甲状腺機能との関連性を検討した。本分析は断面研究を用いて行った。被験者の血液を採取し、総T4、トリグリセリド、コレステロール、HDL、LDL 値を測定した。演繹的に甲状腺破壊作用を示すと思われている化合物(HCB、PCB-19、PCB-28、PCB-47、PCB-99、PCB-118、PCB-153、PCB-169、PCB-180、PCB-183、PCB-187)の血中濃度を電子捕獲検出器を備えたガスクロマトグラフィーを用いて測定した。総T4 の平均値は7.78μg/dL、被験者の平均年齢は31.81 歳であった。各被験者について試料採取時間、血清トリグリセリド、コレステロール、HDL、LDL、年齢、BMI、喫煙の有無を考慮し、可能性のある交絡因子に対する調整後、有機塩素系化合物と血清中総サイロキシンとの関連性を多変量回帰モデルを用いて検討した。各ステップに最大の偏相関の基準を用いて、入力されているすべての変量(“完全”モデル、R2=0.380、p=0.136)と変量の階段的選択(“縮小”モデル、α=0.15)を用いるモデルを構築した。縮小モデルでは、選択した予測因子を変化させずに検出限界値以下の汚染物質データを明らかにするため、いくつかの処置を行った。
 ヘキサクロロベンゼン(β=-0.113)と年齢(β=0.007)は、縮小モデル(R2=0.083、P=0.065)において血清T4 の予測因子として選択された。効力分析では、サンプルが倍増すると既存結果のI 型エラーは0.05、効力は0.80 となり統計学的に有意となった。
 Sala ら(2001)はスペイン、カタロニア、Flix のHCB に高濃度暴露した農村地域に居住する一般住民を対象に血清中PCB、HCB 濃度と甲状腺ホルモン状態、肝酵素値との関連性について検討した。14 歳以上の計608 例(男249 例、女359 例:年齢中央値48.8 歳)から血清、24時間尿を採取した。採血は空腹時に行った。甲状腺刺激ホルモン(TSH)、総及び遊離サイロキシン(T4)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、γ-グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)を測定した(TSH は608 例、他は192 例について)。また血清中HCB 濃度は電子捕獲検出器を備えたガスクロマトグラフィーを用いて測定した。男性の66.7%(166 例)、女性の5.8%(21 例)がかつて電子化学工場に勤務しており、工場勤務歴のない被験者においてもHCB濃度は平均16.8ng/mL と他の研究における一般群よりも高値であった。性、年齢、BMI、飲酒などの交絡変数で補正後、HCB、PCB 濃度と血清中TSH、遊離T4、AST、ALT とに有意な関連性はみられなかった。一方、血清中HCB 濃度には総T4 値とは有意な負の相関性、GGT とは有意な正の相関性がみられ、HCB(ng/mL)が自然対数関数で1 単位増加すると総T4 は0.32μg/dL 減少(p<0.05)し、 HCB(ng/mL)が自然対数関数で1 単位増加するとGGT は相対的に10%増加した(p<0.05)。これらの関連性は総脂質含量又は他の有機塩素系化合物による補正後においても変わらなかった。またPCB とT4、GGT との関連性も小さいものの有意であった。しかしほとんどの被験者(92%)でT4 とGGTは正常値内であった。他の生化学的マーカーとの関連性は認められなかった。

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