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3.農薬散布者、農業従事者
農薬散布者や農業従事者と精巣がんに関する疫学研究の文献は、2000 年12 月31
日までは7件(前向きコホート研究4、症例対照研究3)であった。2001 年1 月1 日から2004 年10 月31
日までの間に新たにエコロジカル研究が1 件報告されていた。
1)コホート研究
前向きコホート研究は、2 つの集団に関する報告が2件づつあった。Wiklund
ら(1986)はスウェーデンで農薬散布者を1965-1976 年の間追跡し、相対危険度が1.55 (95%CI:
0.92-2.45)であったことを報告している。Dich ら(1996)は同じ集団を1991 年まで追跡し、SIR
が上昇しなかったことを報告している(SIR: 1.01, 95%CI: 0.68-1.67)。Fleming
ら(1999)は米国の農薬散布者のコホートで、SIR が有意に高かったことを報告している(2.48, 95%CI:
1.57-3.72)。
2)症例対照研究
症例対照研究では、人口ベースの研究が2件あった。McDowall
ら(1984)は農夫についてOR:1.89(0.99-3.60)、Sewell ら(1986)は農業従事者についてOR:
0.56(0.21-1.47)を報告している。病院ベースの症例対照研究は1 件で、Mills
ら(1984)は農業従事者について有意なリスクの上昇(OR:
6.27)を報告している。このような職業としての農業とがんに関する研究では原因となる要因については詳しくは調べられていない。
3)エコロジカル研究
Koifman,ら(2002)は、ブラジルの11 州について、1985 年の農薬販売量と1996-1998
年の精巣腫瘍死亡率の相関をみたが、関連はみられていない(r=0.53, 95%CI: -0.39-0.75)。
4.その他の物質
有機塩素系農薬類以外については、Ohlason
ら(2000)がスウェーデンでの人口ベースの症例対照研究で、塩化ビニル暴露群で有意なリスクの上昇を観察している。塩化ビニルプラスチック中の可塑剤であるethylhexylphthalate
が原因ではないかと考察しているが、暴露状況等に
ついては不明である。
Schreinemacher ら(1999)は米国、ミネソタ州の4
つの地域で、都市・森林地域に対して除草剤の使用が多い農業地域のSRRを算出したが、リスクの上昇はみられなかった。(SRR:
1.54)。暴露物質の詳細は不明である。
アルキルフェノール類、ビスフェノールA などについての報告はなかった。 |