報告書



		厚生労働省医薬食品局審査管理課化学物質安全対策室

LastUpdate:2016/3/31


内分泌かく乱化学物質の健康影響に関する検討会中間報告書追補その２
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	〔研究結果〕１．有機塩素系化合物　PCB と有機塩素系農薬類について、乳がんとの関連を検討した疫学研究はこれまでに数多く報告されている。１）コホート研究　Saracci らに(1991)よるヨーロッパ10 ヶ国のコホートを使用した大規模な後ろ向きコホート研究では、クロロフェノキシ除草剤の暴露によるSMR の上昇はみられていない。ただし、この研究では罹患は調べられておらず、観察死亡数も少ない。Reynolds ら(2004)による米国カリフォルニアの女性教職員を対象にした前向きコホート研究では、居住地から推定した農薬暴露レベルと乳がんリスクの間には有意な関連は見られていない。２）コホート内症例対照研究症例対照研究は多く、2000 年12 月31 日まではコホート内研究10 件、後ろ向き研究24 件（人口ベースの研究3 件、病院ベースの研究21 件、病院ベースで人口対照を利用したものがそのうち3 件）が報告されていた。2001 年1 月1 日から2004 年10 月31 日の間に新たにコホート内研究4 件、後ろ向き研究14 件（人口ベースの研究5 件、病院ベースの研究9 件、病院ベースで人口対照を利用したものがそのうち1 件）の報告があった。　コホート内研究はいくつかの元になるコホート研究別に分類することができる。米国のWomen’s Health Study 対象者での研究では、Wolff ら(1993) がDDE とPCB について有意なリスクの上昇を報告している。量反応関係はPCB では明確ではなかった。しかし、Wolff ら(2000)の脂肪を調整した血清中濃度を利用した2000 年の報告では有意なリスクの上昇はみられていない。米国のNurse’s Health Study 対象者での研究では、Hunter ら(1997)はDDE とPCB についてリスクの上昇を観察していない。また、Laden ら(2001)は、PCB 同族体についてもリスクの上昇を観察しなかった。さらにLaden ら(2002)は、CYP1A1-exon7 の変異型アレルをもつ閉経後女性において統計学的には境界域ながら、血漿PCB レベルの高い群でのリスク上昇を報告している。デンマークのCopenhagen City Heart Study 対象者での研究では、Hoyer ら(1998) がdieldrin で量反応関係がある有意なリスクの上昇を観察している。また、Hoyer ら(2000) はPCB138 についても有意なリスクの上昇を観察しているが、他の有機塩素化合物では有意なリスクの上昇はみられていない。さらにHoyer ら(2001) は、血清Dieldrin レベルがエストロゲンレセプター陰性乳がんのリスク上昇に有意に関連すること、2002 年にはp53 の変異の有無と血清有機塩素系化合物レベルとの関連を検討したところ統計学的には有意ではないもののp53 の変異が有機塩素系化合物の乳がんリスクへの影響を修飾する可能性を報告している。米国コロンビアの血清バンクドナーのコホート対象者での研究では、Dorgan ら(1999)がHCB で有意なリスクの上昇を観察したが、dieldrin など他の有機塩素化合物では有意なリスクの上昇はみられていない。米国のCLUE study 対象者での研究では、Helzlsouer ら(1999)はDDE とPCB についてリスクの上昇を観察しなかった。ノルウェーの血清バンクドナーのコホート対象者での研究では、Ward ら(2000)はPCB と有機塩素系農薬類でリスクの上昇を観察していない。米国ニューヨーク州在住者を対象としたコホート研究では、居住地、飲料水、周囲の廃棄物処理場などの環境からの殺虫剤暴露による乳がんリスク上昇を示唆する結果をO'Leary ら(2004)が報告している。
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