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3−12 有機リン系殺虫剤
○ ペンタフルオロベンジルブロマイド誘導体化によるガスクロマトグラフ質量分析計法
(GC/MS 法);定量限界: DMP 1.0μg/L、 DEP 0.3μg/L、 DMTP 0.3μg/L、
DETP0.3μg/L (S/N ratio =10);検出限界: DMP 0.3μg/L、 DEP 0.1μg/L、DMTP
0.1μg/L、DETP 0.1μg/L (S/N ratio =3)
殺虫剤暴露職域集団及び非暴露対照集団において、代表的な代謝産物の4種類のジアルキルリン酸を対象に、尿中濃度を測定した。
暴露作業者(n=52)についてはDMP
76.4±164.4μg/L(範囲は定量下限値未満-880μg/L、中央値17.2μg/L); DEP
3.7±15.7μg/L(定量下限値未満-112μg/L、中央値0.4μg/L); DMTP
21.8±47.5μg/L(定量下限値未満-216μg/L、中央値2.2μg/L); DETP
2.7±5.4μg/L(定量下限値未満-22μg/L、中央値0.2μg/L)、非暴露対照者(n=18)ではDMP
35.4±37.7μg/L(定量下限値未満-127μg/L、中央値20.1μg/L); DEP
6.0±9.3μg/L(定量下限値未満-31μg/L、中央値1.3μg/L);DMTP
20.6±47.4μg/L(定量下限値未満-191μg/L、中央値2.7μg/L); DETP
4.3±7.8μg/L(定量下限値未満-33μg/L、中央値1.4μg/L)であった。すなわち、尿中の4種類のジアルキルリン酸濃度の中央値は、暴露群、非暴露対照群ともほぼ等しい値であったが、一部の暴露作業者にDMP
濃度の高い者がみられた。また、非暴露集団について今回の測定対象者では、米国での測定結果に比べDMP
濃度が高い傾向にあり、今後より大規模に暴露評価を行う必要があると考えられた。7)3−13
有機塩素化合物(DDT、PCB、ダイオキシン類等)
○ 有機塩素化合物の脂肪組織中(45
例)の残留パターンは、DDTs>PCBs>HCHs1>CHLs2>HCB3>TCPMe4>TCPMOH5の順であった。脂肪組織中のTCPMe
とTCPMOH 濃度は、脂肪重量当たりでそれぞれ2.7・44(平均18)ng/g
と0.28-31(平均12)ng/gであり、DDTs濃度よりほぼ2桁低値であった。肝臓のTCPMeとTCPMOH濃度は、1.1-20(平均7.0)と<4.0-38(平均19)ng/g
lipid wt.であった。胆汁中のTCPMe 濃度は、<5.0-62(平均17)ng/g lipid
wt.であり、肝臓よりいくぶん高値を示したが、TCPMOH 濃度は検出限界以下であった。脂肪中DDTs
濃度は、160-8100(平均2300)ng/g lipid
wt.であり、分析した有機塩素化合物の中で最も高いレベルであった。脂肪組織のHCHs、CHLs、そしてHCB
濃度は、以前の報告と同レベルであった。脂肪組織のHCHs 濃度は、47-3200(平均680)ng/g lipid
wt.であり、CHLs(平均310 ng/g lipid wt.)やHCB(平均60 ng/g lipid
wt.)より高値を示した。5)
○
さらに、生体における、PCB、ダイオキシン類の暴露状況については、まず児への影響を重視して、北海道地区において、胎内・乳児期暴露のバックグラウンドレベルの暴露量を測定する調査が進行しており、30
歳未満の妊婦で、Non-ortho PCBs、Mono-orthoPCBs 、Coplanar-PCBs 、Totl-TEQ
が低く、初産の妊婦で、PCDDs-TEQ 、PCDFs-TEQ、DDDF、Totl-TEQ
が高いという結果であった。これまでに行われた本邦一般環境地域における血液中ダイオキシン値に比べて低い傾向がみられた。8)
○ さらに、不妊を主訴とする女性80 人(26 - 43 歳)でのダイオキシン類、PCB
類、有機塩素系農薬類の分析では、Total TEQ の中央値は25.1 pg TEQ/g lipid
であった。2,3,7,8-TCDD については、9%(7/80)に検出され、検出された人での範囲は1.7 - 4.2pg/g
lipid であった(定量下限値は1.7 - 12.2 pg/g lipid)。血清中のダイオキシン類、PCB
類、有機塩素系農薬類のレベルは、魚類の摂取頻度が多いほど高くなる傾向がみられた。他の食品ではこのような傾向はみられなかった。3) |