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内分泌かく乱化学物質の健康影響に関する検討会
中間報告書追補その2

 

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  胚細胞期、胎児期、新生児期に生体が不可逆的な影響を受ける可能性を持つことはグローバルアセスメントの指摘にも見られるとおりであり、これに関連した知見が報告されている。ここでの論点は、胚細胞期、胎児期、新生児期でのホルモン受容体の発現の報告と、それらに関連する種差の問題と考えられる。前者については、エストロゲン受容体(ER)などのホルモン受容体の発現が、新生児雄ラットの発生段階でアンドロゲン受容体(AR)を発現している細胞はすべてER を発現し、またセルトリ細胞でERβはAR よりより早く発現していること、胎児の生殖細胞を含むほとんどの芽細胞ではERβを発現しているがAR は発現しておらず、これが外部からのEDCs への応答を考える上で重要な意味をもつものと指摘がある29。そしてヒトにおける発現様式が実験動物と異なるという種差の面から、より高濃度の天然エストロゲンにさらされているヒトで、比較的に弱い外界からのホルモン活性物質に関わるマウスやラットと同様の発現が見られるかについては、疑問が出されている30。しかしながら、他方、ヒトやウサギの核内受容体RXR に関する研究31によれば、げっ歯類のRXR と分子種が異なり、BPA で現在マウスやラットで観察されている影響よりヒトへの影響が小さいとする根拠はないとする考え方もあり、認識の統一には、さらなる研究の蓄積が必要である。なお、雄性生殖器関連の情報としては、独自に確立されたマウス前立腺の無血清器官培養法によれば、10-9M のエストラジオールが、TGFα強陽性の扁平上皮化生を誘導するとの観察が観察されている32。検討の結果、これは前立腺におけるERα強を介して誘導されるTGFαが、扁平上皮の化生を引き起こすものと考えられているが詳細は明らかでない。
 
29 Williams K, McKinnell C, Saunders PTK, Walker M, Fisher JS, Turner KJ, Atanassova N, SharpeRM:Neonatal exposure to potent and environmental oestrogens and abnormalities of the male reproductive system in the rat: evidence for importance of the androgen-oestrogen balance and assessment of the relevance to man, Human Reproduction Update 7, 3 (2001) 236-247
30 Witorsch RJ: Low-dose in utero effects of xenoestrogens in mice and their relevance to humans:an analytical review of the literature, Food and Chemical Toxicology 40(2002)905-912
ヒトとマウスの妊娠における内分泌学的な種差につき、性ホルモンの生成・変換臓器とその時期、および濃度と存在状況の違いが指摘され、その結果、マウスで観察された生殖系への影響がヒトでは、また、BPA などでマウスについて見られた低用量影響はヒトでは見られないであろうとし推論されている。すなわち、マウス・ラットはエストラジオールとエストロンを生産するがヒトはこれに加えてエストリオールを生産するという違いのみならず、ヒト母親の妊娠後期における血中エストラジオールは15-20ng/mL でラット・マウスの妊娠後期の30-60 pg/mL の数百倍である。胎児中濃度はヒト(5-10ng/mL)、マウス(100-150pg/mL)と50-100 倍である。ヒト胎児血ではさらに妊娠後期にエストロン(10-15ng/mL),エストリオール(50-100 ng/mL)濃度も高い。ヒトでは性分化は7-14 週(胎児血中エストラジオールは2-6ng/mL)と早期であるがマウスでは胎齢15 日以降(胎児血中エストラジオールは100-150pg/mL)でずっと後になる。さらに胎児血漿中フリーフォーム・エストラジオールは1-4.5%だが、マウス血漿中フリーフォーム・エストラジオールは0.2%と推定される。
31 Bruce Blumberg:未発表データ。
32 厚生科学研究(井上班)報告・未発表データ。

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