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内分泌かく乱化学物質の健康影響に関する検討会
中間報告書追補その2

 

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  (2)作用機構上の新たな知見
作用機構上の新たな知見としては、例えば内分泌かく乱作用の危惧が指摘される物質の、高次生命系への多面的な影響に対するシステムズ・バイオロジー25の面からの検討が進んだことである。注目すべき結果として、受容体試験で女性ホルモン受容体結合性が示されていて且つエストロゲンと異なった作用機序を持つ内分泌様作用活性化学物質の様々な性質、あるいは、アリールカーボン受容体を介したダイオキシン類(TCDD)の作用とエストロゲン受容体(ER)シグナルの相互作用関係26,27などが明らかにされつつある。これらの結果は先に見た低用量効果、複合効果、作用機構にも関わる影響を持つものと考えられる。

(3)高次生命系の諸系列における知見
この項目に関わる知見を個別にみると、まず発生・生殖系列に関する知見では、BPAを妊娠マウスに投与し、生まれた雌の仔マウスにみられる影響を調べた報告では、膣の開口日が有意に早まっていた。このものの成熟後の交配結果では、少なくとも初産では、妊娠率、産仔数、性比に影響は見られていない28。BPAの出生直後ラットへの高用量投与では、成熟後に雌に無排卵が観察され、遅延性無排卵機構として注目される。

 
25 系統生物学。細胞の働き(時間変化や刺激に対する応答遺伝子の発現など)を現象としてとらえ、その現象を再現する仕組みには、どのような機構が考えられるかを調べることで生命現象の本質を探ろうとするアプローチ。化学反応論はその原型である。
26 ダイオキシン受容体 (AhR) を介した内分泌かく乱は、エストロゲン非依存性のER への結合・転写活性化と、エストロゲン依存性に活性化したER のユビキチン化の促進という二つの機構のバランス下で引き起こされるものと提唱されている。すなわち、リガンド活性化AhR は、エストロゲン非依存的にER を介した転写機能を活性化し、他方、エストロゲンによる活性化ER の転写機能は抑制されるという。この結果は、これまでの報告にも示唆されていたダイオキシン類の作用が内分泌かく乱に関連する可能性を裏付けている。いまだ実質的なデータは乏しいが、同様の変化は、他の核内受容体についても引き起こされる可能性が示唆されるの、今後の大きな課題となるものと考えられる。
27 Ohtake F, Takeyama K, Matsumoto T, et al. Modulation of estrogen receptor signaling by an association with the activated dioxin receptor. Nature 423, 545-550, 2003.
28 Honma S, Suzuki A, Buchanan DL, Katsu Y, Watanabe H, Iguchi T.: Low dose effect of in utero exposure to bisphenol A and diethylstilbestrol on female mouse reproduction. Reprod. Toxicol., 16: 117-122,2002.(多世代にわたる継世代影響を見る実験は行われていない。)

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