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内分泌かく乱化学物質の健康影響に関する検討会
中間報告書追補その2

 

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第3節  低用量問題

1 背景的事項
低用量問題についての背景的事項としては、世界保健機構の化学物質安全性計画による「内分泌かく乱化学物質に関する科学的最新知見の地球規模での評価(WHO/IPCS)1」(以下、グローバルアセスメント)の出版以降、内分泌かく乱化学物質(EDCs)問題への全般的な認識が進展した点をあげることができる。
 グローバルアセスメントでは、野生生物に関しては、時間的・空間的に限定的ながら、環境中のホルモン類似作用をもつ化学物質の暴露によって障害を受けていると考えられる事象が種々の関連性で認められる旨の指摘になっている。
 さらに、実験動物については、哺乳綱動物の体内には絶えず大量の内在性ホルモンがあり、体内はそうしたホルモンにさらされ、またそうした内在性ホルモンに対する防御機構も備わっているとされ、従って成体での長期試験で眼に見えた影響を認める報告は見られず、成体での影響はさしあたり障害性の焦点とはならないものと判断している。これは、いわゆるホルモン様作用物質の生体に対する低用量作用が通常の試験法では多くの場合検出されなかったという、2000 年10 月、米国ノースカロライナ州で開催された低用量問題についてのワークショップで確認されている認識を基礎においている2
 この内在性のホルモンは、そうした制御からはずれて障害を引き起こすことがあり、医療上の目的である程度のリスクを前提とした投与も行われる3。また胚細胞期や胎児期・新生児期のような形態形成期にあたる機能が安定する前の時点では、その影響が無視できないとするデータが集積している。この点は、思春期における影響についても同様と考えられる4

 
1 WHO/International Programe on Chemical Safety; Eds, T. Damstra, S. Barlow, A. Bergman, R. Kavlock,G.van der Kraak., Global Assessment of the State-of-the-Science of Endocrine Disruptors. World Health Organization, 2002, pp. 180. (http://www.ehp.niehs.nih.gov/who/). 邦訳は、厚生労働省ホームページ参照 (http://www.nihs.go.jp/edc/global-doc/index.html)
2 2000 年10 月、米国環境保護庁(EPA)は、ノースカロライナ州で、従来求められてきた無作用量(NOEL)や無毒性量よりも低い用量域*で、いま内分泌かく乱問題で対象となっているようなパラメータに該当する新たな影響が標準的な試験で用いられてきた用量よりも低い用量で観察され得るものかの如何を問う「低用量問題に関するワークショップ」を開催した。そこでは、ビスフェノールA(BPA)の低用量データ報告の認否について、確認されたとする報告と認められなかったとする報告の双方に信頼性(credibility)を認めた上で、低用量作用を示す試験の再現性や、長期試験がジエチルスティルベストロール(DES)にもBPA にも作用を示さなかった事実に言及し、現状に於ける低用量問題の不確実性を結論した。*http://nipserver.niehs.nih.gov//htdocs/liason/FinalRptLowDose FR.html.
3 経口避妊薬や、閉経後のホルモン補充療法などが、患者の希望を尊重しつつ慎重に対処される所以でもある。
4 EPA が思春期アッセイを取り上げていることからも明らかなとおり、巻頭の要旨に組み込まれるべきであったと考えられる。

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