3 まとめ
(下線部が2001 年以降の新たな知見)[発がん影響]
日本人でのエビデンスはない。
複数のコホート内症例対照研究の成績より、有機塩素系化合物(PCB
や主な有機塩素系農薬)と乳がんとの関連がないことを支持する十分な知見がある。しかしながら、層別解析(閉経前か閉経後か、遺伝子多型など)で関連が強く出る可能性を示唆する報告があり、影響を受けやすいサブグループの存在が今後の検討課題である。
複数のコホート研究の成績より、DES
の経口投与による20〜30%程度の乳がんリスクの上昇と関連があることを支持する十分な知見がある。
その他の化学物質と乳がんとの関連については、疫学研究の成績は少なく、関連について言及するには知見が不十分である。
DES
と卵巣がんとの関連については、複数のコホート研究の結果が一致しておらず、関連があることを支持するには知見が不十分である。
その他の化学物質と卵巣がんとの関連については、疫学研究の成績はほとんど存在せず、関連について言及するには知見が不十分である。
有機塩素系化合物アトラジンと前立腺がんとの関連は2
つのコホート研究の結果が一致しておらず、関連について言及するには知見が不十分である。
その他の化学物質と前立腺がんとの関連については、疫学研究の成績は少なく、関連について言及するには知見が不十分である。
その他の内分泌系の影響を受ける部位のがん(子宮体部、精巣、甲状腺)との関連については、疫学研究の成績はほとんど存在せず、関連について言及するには知見が不十分である。
[甲状腺機能への影響]
複数の横断面研究の成績からは、高濃度のPCB 暴露において甲状腺機能の低下をもたらす可能性が示唆されているが、関連があることを支持するには、知見は不十分であり、より質の高い疫学研究による検証が必要である。
比較的低濃度のPCB 暴露による乳児の甲状腺機能の低下を示唆する報告があるが、否定するものもあり、関連について言及するには知見が不十分である。
HCB との関連については複数の報告があるが、多くが横断面研究であり、関連について言及するには知見が不十分である。
その他の化学物質との関連については、疫学研究の成績は少なく、関連について言及するには知見が不十分である。 |