3.農薬
Garry
ら(2002)による米国の有資格農薬散布者での横断面研究では、その配偶者の有病率が都市居住者に比べて地方居住者で高いことが示されているが、農薬暴露との関連は不明である。
〔考察〕
内分泌かく乱化学物質と子宮内膜症についての疫学研究をレビューしたところ、比較的少数の研究が存在するのみであることが明らかになった。
胎児期のDES
暴露に関する二つの断面研究では、非暴露群よりも暴露群で子宮内膜症の有病率が高い点で共通していたが、一方には統計的有意差がなかった。
DES 以外の化学物質に関する研究は、2000 年12 月31 日以前の文献では、症例でPCB
レベルの上昇を認めるものと認めないものがあり不一致であった。2001 年1 月1 日以降の文献では血清中PCB
レベルは症例と対照で差がないという報告が1 件あった。
以上のように、EDC
と子宮内膜症との関連についての疫学研究の知見は、現状ではきわめて少なく、両者の因果関係を適切に評価するには不十分である。また、日本人での研究はなかった。この点について信頼性の高い研究デザインを用いた研究の必要性が示唆された。
〔結論〕
内分泌かく乱化学物質と、子宮内膜症についての疫学研究をレビューしたところ、現時点での実証的知見はきわめて乏しく、両者の因果関係を適切に評価することは困難であった。また、日本人での研究はなく、この点について信頼性の高い研究デザインを用いた研究の必要性が示唆された。
〔参考文献〕
〔表2-12-1 内分泌かく乱化学物質と子宮内膜症に関する症例対照研究〕
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