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内分泌かく乱化学物質の健康影響に関する検討会
中間報告書追補その2

 

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  B低濃度暴露である一般人口集団での妊婦から出生した児の調査
 ノースカロライナでの一般人口集団における研究において、Rogan,ら(1985,1986,1991)、Gladenら(1988,1991,2000)は生下時から思春期までの追跡調査を行っている。神経発達評価では、ベイリースケールBSID との関連では暴露濃度が高くなるとPDI(運動発達)の得点が低くなる傾向にあった。しかし、神経発達の評価時期やその内容により暴露指標との間に一貫した結果は認められなかった。
 オランダ・ロッテルダム研究では半数が母乳栄養児で、さい帯血、母体血、母乳で暴露評価を行った。Patandin ら(1999)は生下時から42 ヶ月までの身体発育との関連について、一般環境レベルのPCB などによる子宮内暴露では生下児体重及び、生後3ヶ月までの発達に負の関連性があったと報告している。また、新生児の神経学的評価(Huisman ら,1995)、3, 7, 18 ヶ月児の神経発達評価(Huisman, 1995)、Koopman-Esseboom ら,1996)を実施し,さらに42 ヶ月時の神経行動学的評価等を行った(Lanting ら、1998、Patandin ら、1999)が、その結果、3, 7, 18 ヶ月では暴露と運動発達とに負の関連性が見られる傾向にあった。
その後の追跡調査として、Vreugdenhil ら(2002)は372 組の母子を追跡し6歳から7歳時で認知機能、運動能力の評価を行いPCB・ダイオキシン暴露の影響が就学時年齢まで持続するかどうかを検討した。出生前暴露は母体とさい帯血中のPCB-118, -138, -153, -180 の総計と定義した。さらに母乳については17 種類のダイオキシン、6種類のダイオキシン様PCB、20の非ダイオキシン様PCB の測定も追加した。その結果、親及び家庭環境が最適ではなかった場合、認知及び運動能力には出生前PCB とダイオキシン暴露による負の影響が認められた。よって、出生前PCB とダイオキシン暴露の神経発達への影響は就学年齢まで持続すること、また適切な家庭環境や親による知的刺激が、認知、運動能力に及ぼす出生前暴露の影響に拮抗し、影響を緩和する可能性が示唆された。
 さらにVreugdenhil ら(2002)は7.5 歳児158 例についてPSAI (Pre-School Activity Inventory)で児の遊び行動を評価し、PCB とダイオキシン類の出生前暴露の検討を行った。その結果、母体血、さい帯血中で測定した出生前PCB 暴露の男性的、男女両性的尺度に及ぼす影響は男児と女児で有意に異なっていた(p<.05)。高濃度の出生前ダイオキシン類の値は女性的尺度評価を行うと、男女ともより女性的な遊び行動の多さと関連していた。このことから、環境レベルでのPCB、ダイオキシン類、その他の関連有機塩素系化合物の出生前暴露によって、出生前ステロイドホルモンの不均衡が誘発されることが示唆された。Vreugdenhil ら(2004)は、さらに9歳時点で、母乳群と人工乳群から暴露の高い児と低い児計83名に対し、さまざまな神経心理学的評価を実施し周産期暴露の影響を検討している。その結果、出生前のPCB レベルが高いことは反応時間の遅れに関連し、また反応時間のバラツキが多くなり、神経心理学的評価の1つであるTower of London(TOL)の得点が低くなることと関連していた。また、Vreugdenhil ら(2004)は、同じ対象83 名に対し、中枢神経系機能の直接的な評価法であるERPs(事象関連電位)のP300 を用い、PCB による周産期暴露の神経毒性メカニズムを検討している。その結果、出生前暴露が高濃度であった児は、低濃度であった児よりも、P300 の潜時が長かった。母乳哺育によるPCBs暴露はP300 の潜時と関連がなかった。P300 の潜時は6〜16 週間母乳哺育された子ども及び人工乳で育てられた子どもよりも、16 週間以上母乳哺育された子どもで短かった。またP300 の振幅は周産期におけるPCB 暴露や母乳哺育と関連がなかった。したがって母乳哺育が中枢神経
系の適切に刺激を認識し処理するERPs(事象関連電位)を促進するのに対して、PCB や関連した化合物によるオランダの環境暴露レベルの出生前暴露は、中枢神経系のメカニズムの成熟を遅延させると示唆している。

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