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内分泌かく乱化学物質の健康影響に関する検討会
中間報告書追補その2

 

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  A湖などで蓄積暴露した魚を摂取した妊婦集団での児の調査
 米国の五大湖オンタリオ湖やミシガン湖周辺で、PCB 類が食物連鎖で蓄積された魚を摂取する妊婦を対象とした研究が行われた。Fein ら(1984)により出生時の体重、頭囲等への影響に始まり、Jacobson ら(1985,1990,1996)は5 ヶ月から11 歳までの神経発達について、出生前PCB 暴露及び母乳期間との関連を調査した。Jacobson ら(2002)は、4 歳、及び11 歳時に認知発達の評価を行い、出生前PCB 暴露の影響について、母乳期間、母親のIQ、HOME(家庭養育環境評価)、性差を交絡調整因子として検討した。その結果、母乳期間6 週未満(56 例)と6 週以上(122 例)の比較では、6 週未満群でのみ各年齢とも認知発達と出生前PCB 暴露に有意な関連性が認められた。一方、機能検査の中でmental rotation(心的回転)の処理速度は母乳が6週以上の群においてのみ出生前PCB 暴露との関連性が見られた。また出生前PCB 暴露と認知発達について、得点が低くなるパターンに性別による明らかな相違は認められなかった。さらにJacobson ら(2003)は、出生前PCB 暴露と学齢での注意機能について4 歳(154 例)、及び11 歳(148例)時に評価検討している。その結果、母乳で育てられなかった(主に人工乳の)子どもたちでは出生前PCB 暴露濃度と負の関連性が見られた。これらの子供では、出生前のPCB 暴露は、より重度の衝動性、集中力低下、未熟な言語、視覚性・聴覚性ワーキングメモリーと有意の関連が認められた。なお両研究とも、母乳による(PCB 暴露による神経学的有害作用の)低減作
用が、母乳中の栄養素によるものか、母乳哺育中の母親の行動による適切な知的刺激によるものか、その機序を区別し明らかにするのは困難であったと考察している。
 New York 州Oswego では食物連鎖でPCB 類が蓄積された魚を摂取する女性を対象とした研究が行われ、Lonky ら(1996)、Stewart ら(2000)が暴露と新生児の行動観察との関連を調査している。その結果、高濃度暴露児で自律神経系の未熟性が認められた。Stewart ら(2003)は、Oswego研究の212 例に対し、38 ヶ月、54 ヶ月でMcCarthy 検査を用い認知発達の評価を行い、出生前PCB 暴露(さい帯血PCB)、及びメチル水銀(MeHg)との関連性について検討した。その結果、交絡要因調整後、38 ヶ月においては、McCarthy 検査のGCI(全般認知指標)とさい帯血中の高塩素化PCB に有意な関連性を認めた(P=.012)。しかし54 ヶ月時には関連性は認められなかったことから比較的高濃度で暴露した児においても、54 ヶ月までにはキャッチアップがなされることが明らかになったとされた。また、Stewart ら(2003)は、4.5 歳児189 例に対し、CPT(連続遂行課題)検査を行い、出生前PCB 暴露が反応制御を障害、特に誤反応(error of commission)を増加させるかを検討した。また、MRI 検査を行い、後部脳梁の形態学的変化にどのように関連しているかを調査した。その結果、脳梁が小さいほど、PCB と誤反応の関連性が大きく、脳梁の発達が最適とは言えない小児では、特にPCB の影響を受けやすいとしている。

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