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内分泌かく乱化学物質の健康影響に関する検討会
中間報告書追補その2

 

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  〔研究結果〕
1.有機塩素系化合物
 有機塩素系化合物と小児神経発達との関連を検討した研究は、2000 年12 月31 日までは22件であったが、2001 年1 月1 日から2004 年10 月31 日までの間に新たに14 件の報告があった。14 件のうち以前に報告された研究の年長児での追跡調査が11 件、新たにコホートを立ち上げた国・地域における報告が3 件であった。
1)コホート研究
 コホート研究では、対象は@事故による高濃度暴露集団及び汚染地域、A湖などで蓄積暴露した魚を摂取した妊婦集団、B一般人口集団の妊婦の児の大きく3種類に分けられる。
@高濃度暴露集団及び汚染地域
 1968 年に九州を中心に起こった油症で、Harada ら(1976)は、7年間に13人の患児において感情表出の欠落、筋緊張の低下、知能指数の低下が認められたと報告している。
 1978〜79 に起こった台湾油症研究では、Rogan ら(1988)、Chen ら(1992、1994)は油症患者の母親から生まれた児について2歳から12歳まで追跡調査し、その結果、成長遅延、運動機能の発達遅延、認知機能の低下がみられたと報告している。Lai ら(2001)は追跡調査として、2歳から12歳のYucheng 児(暴露群)118 名と地域が一致する対照群118 例について検討し、PCBとそれらの誘導体の出生前暴露は、人における認知発達に対して長期的に有害な作用を及ぼすことが示唆された。さらにLai ら(2002)は、同じ対象に対しウエスクラー知能検査及び、CBCL(Achenbach の行動チェックリスト)とRutter の小児行動尺度Aを用い児の行動評価を行った。
その結果、暴露群は対照群に比べIQ が3 ポイント低く(p=.05)、CBCL が3 ポイント高かった(p=.002)。Rutter の行動尺度も暴露群で6 ポイント高かった(p<.001)。影響の性差はなかった。暴露による影響が年齢につれて回復するか否かについて検討したが、Rutter の行動尺度のみ有意に回復し暴露による差が認められなくなった。すなわちPCB 出生前暴露は持続的な認知及び行動の問題を誘発するが、加齢により回復が一部認められたと報告している。
 スペイン・電気化学工場近隣に住む92 名の母子を対象に、Ribas-Fito N ら(2003)は、1997 年〜1999 年に1歳児の神経発達と有機塩素化合物(OCs)及び母乳養育との関連を調査した。神経発達評価は13ヶ月でBSID-U(ベイリースケール)とGriffuths Scales を実施し、暴露評価はHCB(ヘキサクロロベンゼン)、p,p’DDE、(ジクロロ・ジフェニル・ジクロロ・エチレン)PCBs(28,52,101,118,138,153)をさい帯血の血清より測定した。その結果、p,p’DDE の出生前暴露は13ヶ月における精神発達、運動発達の遅れと関連があった。HCB では関連がなかった。またp,p’DDE 濃度が比較的高く、母乳期間の短い乳児では、精神、運動発達の得点が低かった。したがって長期間の母乳養育は化学物質暴露による負の影響にむしろ拮抗し、影響を緩和する可能性があると報告している。

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