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内分泌かく乱化学物質の健康影響に関する検討会
中間報告書追補その2

 

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  [考察]
 精巣下降は機械的因子とホルモン因子の複雑な相互作用によって生じる結果と考えられ、第1相の腹腔内下降transabdominal phase と第2相の鼠径陰嚢部下降 inguinoscrotal phase の2段階に分かれていると考えられている。精巣下降の第1相は、アンドロゲンの関与は少なく非アンドロゲンのホルモンや、胎児の精巣から分泌されるミューラー管発育阻止物質(MIS)が腹腔内精巣下降をコントロールしていると考えられており、第2相は、胎児精巣Leidig 細胞から分泌されるアンドロゲン依存性だと考えられている。
 過去の疫学研究においては、母親の妊娠中のエストロゲン製剤暴露やDES 暴露がリスク要因として報告されている(Gill 1979, Whitehead 1981, Cosgrove 1977, Depue 1984)。エストロゲン暴露により、精巣下降第1相において関係するといわれるMIS の作用を阻害し、また、胎児のLeidig細胞の前駆細胞を抑制することで、第2相に関係するといわれるテストステロンの分泌を阻害し、停留精巣の発生に関連すると考えられている。内分泌攪乱物質である有機塩素化合物のいくつかは、エストロゲンレセプターアゴニストとして作動し、外因性エストロゲンとしてホルモンを変動させることがしられており、過去の疫学研究では、母親の農薬使用によるオッズ比の上昇(Kristensen 1997, Weidner 1998)や、停留精巣患児の脂肪中の有機塩素化合物濃度(ヘプタクロロエポキシド、ヘキサクロロベンゼン)が健常児と比較して高濃度であったこと(Hosie 2000)、が報告されていた。今回、最近の知見について文献検索を行ったところ、症例対照研究で農薬との関連を示した論文が新たに報告されたが、停留精巣患児の内分泌攪乱物質への暴露を、生体試料を用いて定量的に評価した報告では関連が認められず、現時点では、内分泌攪乱物質と停留精巣との関連について、一定した評価をするには、未だ研究が乏しい状況である。今後、信頼性の高い研究デザインと用いた研究の必要性が示唆された。

[結論]
 停留精巣と有機塩素化合物について2004 年10 月31 日までの疫学研究をレビューしたところ、停留精巣患者のさい帯血PCB 濃度との関連はないという報告、母親の妊娠中の血清DDE 濃度と停留精巣には関連がないという報告、HCE、HCB との関連があるという報告、があった。その他、農薬やホルモン製剤との関連ありとする論文と、有意な関連はないとする論文があった。停留精巣と有機塩素化合物との関連に関する研究はきわめて乏しく、両者の因果関係を適切に評価することは困難であった。今後、信頼性の高い研究デザインを用いた研究の必要性が示唆された。

〔参考文献〕

〔表2-9-1 内分泌かく物質と停留精巣に関する介入研究〕

 
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