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毒物劇物の適切な保管管理について

 農薬や工業用薬品、試薬など、化学物質はその姿をいろいろ変え、われわれの日常生活にも深い関わり合いをもっています。このように社会にとって非常に有用な化学物質のうち、毒性の強いものは、毒物及び劇物取締法により毒物又は劇物として指定され、その製造、販売、貯蔵、運搬、廃棄等が規制され、保健衛生上の危害を未然に防止することとしています。
 これらの規制のうち、保管等毒物劇物を適切に取り扱うために必要な措置については、登録の必要な毒物劇物製造業者、輸入業者、販売業者(毒物劇物営業者)はもちろんのこと、それ以外の登録の必要性はないが、業務上取り扱う病院、研究機関、農業者等(業務上取扱者)においても、規制の対象となっています。
 次に毒物劇物営業者、業務上取扱者が毒物劇物による事故等を防止するために必要な、主な事項を示しますので、適切な取扱い方を理解して頂きたいと思います。

保管について
毒物劇物の盗難・紛失を防止しなければなりません。
  保管場所は、鍵のかかる丈夫なものにし、必ず施錠し、鍵の管理を徹底しなければなりません。
他のものと区別して保管してください。
敷地境界線から十分離すか、一般の人が容易に近づけない措置を講じてください。
管理者が目の届くところに保管してください。
保管、陳列されている毒物劇物の在庫量の定期的点検、使用量の把握をしてください。
運搬中は、容器が落下、転倒等することのないよう車両に積載するとともに、運搬先での受け渡し時に、品名、数量確認等を徹底し、紛失を防止してください。
使用していない不要な毒物劇物は、早く適切に処分してしまいましょう。
保管、貯蔵、陳列場所には「医薬用外」の文字、毒物については「毒物」の文字。劇物については「劇物」の文字を表示しなければなりません。
 
取扱いについて
毒物劇物が漏れたり、流出したりしないように措置を講じなければなりません。
  貯蔵タンクのまわりには防液提を設置する等構造・設備等の基準を守ってください。
容器や保管設備などに腐食・亀裂・破損等がないか定期的に確認してください。
運搬にあたっては、積載方法、運搬方法等の基準を守らなければなりません。
 
容器について
飲食物の容器に毒物劇物を移し替えてはいけません。
  誤飲防止のため、ペットボトル等飲食物に通常使用される容器に移し替えることは禁止されています。
飲食物以外の他の容器に移し替えた時は、その容器にも表示が必要です。
  「医薬用外」の文字及び毒物ついては毒物の文字、劇物については劇物の文字を表示しなければなりません。
間違いをおこさないよう、成分なども書いておきましょう。
 
廃棄について
毒物劇物は処理せずに廃棄してはいけません。
  一般に、化学分解、燃焼、中和等の方法で処理を行い保健衛生上の危害が発生しないようにしてから廃棄することが義務づけられています。
毒物及び劇物取締法の他、水質汚濁防止法、大気汚染防止法、下水道法等他法令の規定する基準にも適合していなければなりません。
自己処理できないときは、知事の認可を受けた廃棄物処理業者に委託してください。
 
毒物劇物危害防止規定について
毒物劇物を取り扱う事業所では、毒物劇物危害防止規定を作成してください。
  危害防止規定は、毒物劇物製造所等における毒物又は劇物の管理・責任体制を明確にし、毒物又は劇物による保健衛生上の危害を未然に防止することをねらいとして作成するものです。
記載すべき基本的な事項はつぎのとおりです。
(1) 貯蔵又は取扱い作業を行う者、設備等の点検を行う者、事故時の関係機関への通報及び応急措置を行う者の職務及び組織に関する事項。
(2) 貯蔵又は取扱いに係る作業の方法に関する事項。
(3) 貯蔵及び取扱いに係る設備等の点検の方法に関する事項。
(4) 貯蔵及び取扱い係る設備等の整備又は補修に関する事項。
(5) 事故時における関係機関への通報及び応急措置活動に関する事項。
(6) 貯蔵及び取扱いの作業を行う者、事故時の応急措置を行う者の教育及び訓練に関する事項。
(7) その他、保健衛生上の危害を防止するために遵守しなければならない事項。
 
流出・漏洩、盗難・紛失について
毒物劇物による流出・漏洩事故はすぐに保健所、警察署又は消防機関に連絡し、保健衛生上の危害を防止するために必要な応急の措置を講じなければなりません。
  通報する責任者の設定など通報体制を整備してください。
事故当事者は、流出・漏洩した毒物劇物による被害を最小限にとどめるよう、中和剤の散布、立入禁止区域の設定など速やかに措置を講じなければなりません。
毒物劇物の盗難・紛失があった場合は、すぐに警察署へ連絡しなければなりません。
  最寄りの保健所にも連絡してください。
 
その他
毒物劇物は、販売業の登録なしでは、たとえ個人的にでも自由に販売したり譲ったりすることは禁じられています。



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