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3−5 ベンゾ(a)ピレン
○ ベンゾ(a)ピレンは、モノヒドロキシベンゾ(a)ピレン(OH-BaP)として男子尿中から検出された。1)3−6
PCB
○ 母体、母体末梢血、さい帯血中で35 種の同族体及び異性体として検出され、その濃度範囲は脂肪当たり60-99ng/g
であった。1)
○ 剖検症例を用いた暴露状況は、以下のように要約される。剖検症例の肝(57 検体)、腸間膜脂肪(54 検体)及び腹壁脂肪(54
検体)において、脂肪重量当たりのmono-ortho PCB(8 種類)の平均値は、それぞれ8.95、19.16
及び20.59pg/g (TEQ 表記)で、肝はその約1/2 であった。di-ortho PCB も、11.36、24.79
及び20.59(TEQ 表記)であり、肝はその約1/2 であった。測定した12 種類のPCB
のそれぞれの相対比は、肝、腸間膜脂肪及び腹壁脂肪いずれも同じ傾向を示した。また、血液(38
件)及び胆汁(42件)では、血中Mono-ortho-PCBs 濃度は、肝臓、脂肪組織中のMono
ortho-PCBs濃度と同様に、2,3',4,4',5 PenCB(#118)の濃度が最も高く、平均159±156pptであった。次に高かった2,3,3',4,4',5-HexCB(#156)の濃度は、平均74±52pptであった。胆汁中のMono-ortho-PCBs
濃度も血液中と同様に、それぞれ#118 の濃度が平均347±194ppt で、#156 の濃度は平均171±99ppt
で高かった。また、胆汁中の総Mono-ortho-PCBs 濃度は、血液中の約2 倍であった。5)
3−7 ダイオキシン類
○ 剖検症例を用いた暴露状況は、以下のように要約される。血液、胆汁(57
検体)でのダイオキシン濃度は、それぞれ42.6±24.3 pg TEQ /gfat、43.4±30.8 pg TEQ /gfatであった。肝臓中は127.2±53.4
pg TEQ /gfat
であった。また、血液中と胆汁中の濃度がよく相関しており、肝では脂肪重量当たりの濃度が血液中、胆汁中濃度よりも高かった。胆汁からの排泄量は、ダイオキシンの異性体種類により差異が認められた。
OCDDが一番高濃度でありPeCB、HxCB がそれに続く。それ以外では、1,2,3,6,7,8HxCDD、
TeCB
、2,3,4,7,8-PeCDD、1,2,3,4,6,7,8HpCDD、が高い傾向を示した。各異性体パターンは、ほぼ血液に似ているがHxCDF、HpCDF
では血液の約1/2の濃度、HxCDD では血液の約2/3 の濃度、HpCDD、OCDD で約1/2の濃度、TeCB
では約1/2の濃度でその他の異性体はほぼ同等の濃度であった。肝臓では、PCDDs、コプラナーPCBs
ともに、全般的に濃度が高く濃度順には OCDD、 PeCB、
HxCB、1,2,3,4,6,7,8-HpCDD、1,2,3,6,7,8HxCDD、 TeCB 、
2,3,4,7,8-PeCDD と続いた。1,2,3,4,6,7,8-HpCDF は、胆汁の約20 倍、血液の10
倍の濃度があり、1,2,3,4,7,8,9-HpCDF は胆汁の10 倍、血液の8 倍、OCDD に関しては血液の約5
倍、胆汁の約9 倍の濃度であった。
腎臓、脾臓、膵臓、肺では、それぞれ138、113、163 及び178 pg-TEQ/g
脂肪(平均値)の蓄積が認められ、同族体ごとの蓄積パターンは、他の臓器と同様であった。Whole
ベースにすると平均総ダイオキシン類濃度は、膵臓中の濃度が他の20〜30
倍高濃度であるが、脂肪ベースで比較した場合、ほぼ同じ濃度レベルであった。各7
症例であるが中枢神経及び乳腺中のダイオキシン類は、中枢神経では肝と同レベル、乳腺では脂肪組織と同レベルで蓄積していた。
年齢、性別と化学物質の蓄積の相関を検討したところ、年齢の増加に伴ってダイオキシン・PCB
の蓄積が増加することが明らかとなった。臭素系ダイオキシン(polybrominated diphenyl ether(PBDE)の25
の異性体(BDE-#17, 25, 28, 30, 32, 33, 35, 37, 47,49, 66, 71, 75, 77,
85, 99, 100, 116, 119, 126, 138, 153, 154, 155,
166))は、血液、胆汁、肝臓、脂肪組織でそれぞれ、4,087±4,428、2、953±2,916、4,001±3,191、5399±4826
pg/g 脂肪であった。測定した27
の異性体のうち、2,2',4,4'-tetraBDE(#47)、2,2',4,4',5,5'-hexaBDE(#153)の濃度が高く全体の70%を占めた。心血と胆汁の濃度の相関及び心血と肝組織中の濃度の相関係数は、それぞれ0.64,
0.60 であり、ダイオキシン類と同様に胆汁からの排泄のあることが示された。5)
○ (高感度CALUX;検出限界4.0pg/mlTEQ/g blood)
若年男性47 名(平均年齢20.0 歳)の血液中のダイオキシン(PCDDs/Fs
分画)濃度を測定し、平均10.18(4−19)pg/TEQ
の暴露が認められた。本測定におけるダイオキシンの濃度レベルは、CALUX
による香山らの他の調査における測定レベルが20pgTEQ/gfat
以上の検体が多かったことと比較して、全体に低いレベルであったと考えられる。CALUX 法は一般にHRGC/HRMS
による分析値と比べて数値が2 から3 倍ほど高めに出る性質があるといわれているが、今回の生体試料での測定では約1
倍と、HRGC/HRMS による分析値と大きく異ならないという傾向が見られている。6) |