1 はじめに
樹脂原料等として用いられるビスフェノールA、可塑剤等として用いられるフタル酸エステル類、界面活性剤の原料等として用いられるアルキルフェノール類は、暴露量も多いと想定され、社会的にも注目される化学物質である。そのリスク評価を実施するには、生体影響評価に加えて、ヒト暴露量の評価が必要である。
この目的のためには、ヒト生体試料の信頼性の高い高感度測定法の構築やサンプリング・保存方法の基礎的検討が要求されている。しかし、これら化学物質の微量分析を実施するに当たっての共通の課題は、試料採取から分析に供するまでの測定環境における汚染(コンタミネーション)が懸念され、分析値に影響を及ぼすことが危惧されることである。
そこで、上記3種の化学物質を測定対象物質として、生体試料を視野に入れた分析精度の高い測定法を構築し、生体試料中の内分泌かく乱化学物質に関する分析ガイドラインの作成を行った。
一方、内分泌かく乱化学物質の生体影響評価を実施する際、実験動物を利用したin
vivo系試験が広く行われている。しかし、低用量域における生体影響を評価するための動物実験の信頼性を確保するためには、飼育・実験環境(飼料、床敷、給水瓶、空気等)における化学物質暴露の影響を明らかにする必要性が指摘されている。
そこで、上記3種の化学物質の他、植物エストロゲン等について飼料等の測定法を構築し、実試料への応用を試みた。2 食品中の内分泌かく乱化学物質分析ガイドラインについて
食品中の内分泌かく乱化学物質の分析ガイドラインについては、中間報告書追補(平成13年12月)において、当時の採取・分析法検討作業班が、「食品中の内分泌かく乱化学物質分析ガイドライン」を暫定的に取りまとめている。
今回、当作業班において、必要な情報を収集し、当該「食品中の内分泌かく乱化学物質分析ガイドライン」を再検討した結果、改訂すべき根拠となる新たな知見は、得られなかった。 |