英国食品基準庁(UK FSA)からの新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)関連情報
https://www.food.gov.uk


新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック下における食品に関する調査報告書
Food in a Pandemic report published
17 March 2021
https://www.food.gov.uk/print/pdf/node/6161 (報告書PDF)
https://www.food.gov.uk/news-alerts/news/food-in-a-pandemic-report-published

(食品安全情報2021年12号(2021/06/09)収載)

 英国食品基準庁(UK FSA)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックによって消費者が経験した食品関連の事柄について、独立系シンクタンクDemosと協力して行った調査の報告書を発表した。

 この報告書「Food in a Pandemic(COVID-19パンデミック下における食品)」は、FSAの委託により、「Renew Normal」活動(https://renewnormal.co.uk、COVID-19流行による生活の変化に関する調査や対応)の一環としてDemosによって作成された。COVID-19流行発生後の生活に関する消費者の調査は、COVID-19パンデミックによって変化した新しい食品環境が消費者の行動や嗜好にどのような影響を与えたかを把握するために行われた。この調査には、英国の成人10,069人を対象とした国内の標本調査、英国民1,006人が参加したオンライン協議会方式「Polis」(https://pol.is/home)による国内の標本調査、協議会方式による4回のワークショップ、および成人911人が回答したオープンアクセス調査が含まれている。


COVID-19パンデミック時の消費者の経験に関する重要な調査結果

〇 食料安全保障に関する問題

 報告書には、自主隔離により困難になった食料安全保障という新しい問題に対し、消費者が公的でない援助(他の人のために代わりに買い物をすることなど)によって対応していることが示されている。
 また、消費者は政府に対し、食品の購入手段がない人への支援対策を求めていることも示されている。消費者は、食料が保障されないことへの予防対策、例えばあらゆる人が適切な賃金を得られる仕事に就業できるようにするなどの対策を支持する傾向が強くなっている。Polisでは、「食品を入手できない人が1人もいないようにすることが政府の責任である」とする意見に3分の2弱(63%)が同意している。

〇 英国の食品供給

 COVID-19パンデミックの際に地元での食品購入や食品の自家生産が増えたと回答した人の割合はかなり高く、人々が自給自足の方向に向かっていることを表している。これらの人の多くが、今後も自分たちはこのような行動を続けていくであろうと予想している。
 回答者の78%が、世界市場において食品の価格が上昇して競争力が低下することになるとしても、英国が現在の食品品質基準を維持することを支持した。また、同程度(82%)の回答者が、価格および競争力における代償が同程度である場合は英国の現在の動物福祉基準を維持することを支持した。

〇 食生活および食習慣

 COVID-19の流行下で人々の食生活に複雑な変化がみられ、家庭で調理する機会が増えた。回答者の約3分の1(32%)が、メインの食事がより健康的になったと報告した一方、約3分の1(33%)が健康上あまり好ましくないスナック類の喫食が増えたと報告した。
 行動の制限や公衆衛生上の助言の一部(外出しないことなど)によって、より健康的な食生活が促進された可能性がある。調理をする機会や、より健康的な食事が増えた人は、このような変化が今後も続くことを期待する傾向がある。しかし、このような傾向は、多様な働き方の継続性など他の様々な変化による影響を受ける可能性がある。


FSAの調査

 本報告書は、食品に関する消費者の状況について、FSAが進めているエビデンスベースでの最新調査の結果をまとめたものである。新しい調査「Food and You 2」は、食品安全・食品供給・食料安全保障問題に関する知識、意識および行動について消費者が自己申告する情報を収集するもので、第1回の結果が2021年3月19日に発表される予定である。

 報告書の全文が以下のWebページから入手可能である。
https://www.food.gov.uk/research/research-projects/food-in-a-pandemic



国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部