英国食品基準庁(UK FSA)からの新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)関連情報
http://www.food.gov.uk/


英国食品基準庁(UK FSA)がコロナウイルス感染症(COVID-19)に関して消費者向けの新しいガイダンスを発表:食品を介したCOVID-19罹患リスクは依然として低い
FSA publishes guidance for consumers on coronavirus (COVID-19): New FSA guidance reassures consumers that food risks from coronavirus (COVID-19) remain low.
17 April 2020
https://www.food.gov.uk/news-alerts/news/fsa-publishes-guidance-for-consumers-on-coronavirus-covid-19

(ガイダンス)
Guidance for consumers on coronavirus (COVID-19) and food
17 April 2020
https://www.gov.uk/government/publications/guidance-for-consumers-on-coronavirus-covid-19-and-food/guidance-for-consumers-on-coronavirus-covid-19-and-food

(食品安全情報2020年9号(2020/04/28)収載)

 英国食品基準庁(UK FSA)は、コロナウイルス感染症(COVID-19)と食品に関する理解をさらに深めてもらうため、消費者向けの新しいガイダンス「コロナウイルス感染症(COVID-19)と食品に関する消費者向けガイダンス(Guidance for consumers on coronavirus (COVID-19) and food)」を発表した。

 本ガイダンスは、食品衛生、食品包装、買い物の際の社会的距離(social distancing)など様々な問題を取り上げている。また、食べ残しを安全に取り扱い、食品を無駄に廃棄しないために、家庭での食品保存に関する助言も提供している。

 FSAの助言によると、食品を介してCOVID-19に罹患する可能性は依然として極めて低い。COVID-19は呼吸器疾患であり、食品や食品包装への曝露による感染は報告されていない。

 FSAは、英国の食品供給の安全性を維持し、安全性に関する最新の助言を消費者に提供するため、業界や関係機関との緊密な協力を継続している。

 本ガイダンスは、英国政府のWebページから入手可能である。

 「コロナウイルス感染症(COVID-19)と食品に関する消費者向けガイダンス」の内容を以下に紹介する。

コロナウイルスと食品について知る必要があることは何か

・食品を介してコロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患する可能性は極めて低い。

・十分な加熱によってウイルスは死滅する。

・COVID-19は呼吸器疾患である。食品や食品包装への曝露による感染は報告されていない。

・感染リスクを減らすために、石鹸と水を使用した20秒以上の手洗いを定期的に行うことが推奨される(以下のWebページ参照)。
https://www.nhs.uk/live-well/healthy-body/best-way-to-wash-your-hands/
・食品の取り扱いや喫食の前には手洗いが特に重要である。

買い物をする際の食品衛生

 食品と食品包装との間でCOVID-19の交差汚染が生じるリスクは極めて低い。食品事業者は、消費者を守るために食品衛生および食品安全のための適切な工程を定め、それを確実に実施する必要がある(以下Webページ参照)。
https://www.gov.uk/government/publications/covid-19-guidance-for-food-businesses

 店舗で食品を取り扱う従事者は各個人の衛生状態を高いレベルで保つため、清潔で適切な衣類の着用、定期的な手洗いなどが必要とされる。

 食品事業者は食品安全管理システムを実施する必要があるが(以下Webページ参照)、従事者は必ずしも食品の取り扱いや提供の際に手袋の着用は義務付けられていない。
https://www.gov.uk/government/publications/covid-19-guidance-for-food-businesses

 店舗で食品を取り扱う従事者は各個人の衛生状態を高いレベルで保つため、清潔で適切な衣類の着用、定期的な手洗いなどが必要とされる。

 食品事業者は食品安全管理システムを実施する必要があるが(以下Webページ参照)、従事者は必ずしも食品の取り扱いや提供の際に手袋の着用は義務付けられていない。
https://www.food.gov.uk/business-guidance/managing-food-safety

 消費者は、果物、野菜、パンなどのように包装されずに販売される食品を購入する際、触れるのは自分が購入する食品のみにする。

・輸入食品

コロナウイルス感染患者が発生している諸国からの輸入食品および包装がコロナウイルスで汚染されているリスクは極めて低い。その理由は、輸出業者に対し、食品の包装や出荷の過程で適切な衛生対策を実施することが法律で義務付けられているからである。

・再利用可能な食器

これまで、カフェなどの小売店で飲み物を購入する際に、再利用可能なカップや容器を使用したことがある消費者もいると考えられる。現在のところ、再利用可能なカップや容器を使用可能とするかどうかは各事業者の判断に任せられている。

これらを使用する場合は、洗剤と湯で、または使用可能な場合は食器洗浄機でよく洗浄すべきである。

買い物の際の社会的距離

 買い物は必要なもののみとし、買い物をする際には、自分と他の人との間に2mの間隔を置く。これは、密集を避け、他の買い物客や従業員との間に十分な空間を作るためである。

 商店やスーパーマーケットが、密集を避けるために独自に対策を講じることがある(以下Webページ参照)。この対策では、店内にいる顧客数を把握し、密集を避けるための入店制限を設けることもある。さらに入口付近での混雑を抑制し、2mの社会的距離の維持のために行列管理を行うこともある。
https://www.gov.uk/government/publications/covid-19-guidance-for-food-businesses/guidance-for-food-businesses-on-coronavirus-covid-19#maintaining-social-distancing-in-specific-food-business-settings

 社会的距離に関する詳細は、英国政府の以下のWebページから入手可能である。
https://www.gov.uk/government/publications/covid-19-guidance-on-social-distancing-and-for-vulnerable-people

家庭での食品衛生

 食品を介してコロナウイルスに感染する可能性は極めて低く、また食品を適切に加熱することでウイルスは死滅する。

 コロナウイルス感染の症状がある場合や検査で陽性の結果が出た場合は、トングなどの器具を使用することで食品との直接的な接触を最小限にすることが可能である。

 他の人のために食品の取り扱いや調理を行う人は、FSAが作成した食品安全と衛生に関するガイダンス(https://www.food.gov.uk/food-safety)に従うことが重要である。

 調理台や器具などの表面は、食品にも安全な消毒剤で洗浄し、その際は消毒剤に表示してある指示を守る。適切な洗浄剤がない場合は石鹸と熱い湯を使用して洗浄する。

・食品包装

 購入した食品の包装を消毒する必要はない。その理由は、食品事業者には食品安全システムの導入が義務付けられており、そのシステムには包装を清潔に保つことも含まれているためである(https://www.food.gov.uk/business-guidance/managing-food-safety)。念のため、包装材に触れた後は手指を洗うことで適正衛生規範を守るようにする。何らかの理由で包装が汚染されていることが考えられる場合は、洗浄について推奨されているガイダンスに従う(https://www.food.gov.uk/safety-hygiene/cleaning)。

・包装されずに販売されている食品

 食品を介してコロナウイルスに感染する可能性は極めて低い。生の果物・葉物野菜サラダ・野菜などを取り扱う際もしくは喫食する際は、適切な衛生規範や調理法を守る。たとえば、表面の汚染物質を除去するために果物・野菜などの農産物を洗浄すること、皮をむくこと、外側部分を取り除くことなどである。台所内での交差汚染の原因になるため、生の鶏肉・食肉は洗わない。

 食品を調理する前後には、石鹸と水を使用して手指を少なくとも20秒間洗うことが重要である(https://www.nhs.uk/live-well/healthy-body/best-way-to-wash-your-hands/)。

家庭での食品の保存および保存後の再利用

 食品の安全性を確認し、喫食できる食品を無駄に廃棄しないために、「賞味期限」および「消費期限」を参照する(https://www.food.gov.uk/safety-hygiene/best-before-and-use-by-dates)。

 包装に記載されている製造業者の表示は遵守する。

・「賞味期限」は品質に関する期限であり、期限を過ぎて喫食しても安全であるが、最良ではない可能性があることを意味する。

・「消費期限」は安全性に関する期限であり、期限を過ぎた場合は、正しく保存されていて外観と匂いに異常がなかったとしても、喫食、調理および冷凍を行ってはいけない。

 冷凍可能な食品は、消費期限以前であれば冷凍してよい。冷凍することで、細菌の増殖を停止することができる。生および加熱済みの食肉・果物・卵など多くの食品が冷凍可能である。

 解凍する際には食品の中心温度が上昇するため、室温で放置すると細菌の増殖に好都合な環境になる。冷凍食品は冷蔵庫内で時間をかけて解凍するのが最良の解凍方法である。解凍した食品は24時間以内に喫食する。

持ち帰り食品

 注文は食品提供施設において直接行うのではなく、事前にオンラインまたは電話で行うべきである。

 持ち帰り料理店または持ち帰り方式を提供しているレストランで食品を直接受け取る場合は、食品事業者が定めた社会的距離の規則に従う(以下のWebページ参照)。
https://www.gov.uk/government/publications/covid-19-guidance-for-food-businesses/guidance-for-food-businesses-on-coronavirus-covid-19#maintaining-social-distancing-in-specific-food-business-settings
この規則には、受け取り時間の調整や、2mの距離をとるための行列管理などが含まれることもある。

 持ち帰り料理を配達してもらう場合は、注文した店が食品安全に関する政府のガイダンスに従っていれば安全である。

 調理に従事する者は定期的に手を洗い、食品の調理や取り扱いを行う区域で適正衛生規範を守るべきである。

 社会的距離に関する政府の助言(以下Webページ参照)は、食品の配達を行う業者にも適用される。食品が配達される際には、2mの距離を維持することにより、コロナウイルスが拡散する機会を最小限に抑える。
https://www.gov.uk/government/publications/covid-19-guidance-on-social-distancing-and-for-vulnerable-people


国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部