スコットランド食品基準庁(FSS)からの新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)関連情報
http://www.foodstandards.gov.scot/


コロナウイルス感染症(COVID-19)と食品(食品に関連する情報)
CORONAVIRUS (COVID-19) AND FOOD (Information in relation to food)
Information correct as of 30 March 2020
https://www.foodstandards.gov.scot/consumers/food-safety/coronavirus

(食品安全情報2020年9号(2020/04/28)収載)

 欧州食品安全機関(EFSA)によると、食品がコロナウイルス感染症(COVID-19)の感染源であることを示すエビデンスは現時点では存在せず、食品の喫食を介してコロナウイルスに感染する可能性は考えにくい。

 コロナウイルスの主要な伝播経路は、ヒトとヒトとの直接接触であると考えられている。

 コロナウイルスに類似したウイルスに関する知見にもとづくと、食品を適切に加熱すること、および調理器具表面を適切な方法で消毒することでウイルスは不活化する。

リスク管理に関する助言

 英国の食品チェーンを介してCOVID-19に罹患するリスクは極めて低い。現時点では、食品由来で伝播が起こることを示すエビデンスは存在しない。したがって、食品からCOVID-19に罹患する可能性は考えにくい。

 これまでに得られた情報にもとづき、3つのリスクが挙げられている。

1. 汚染食品によるリスク

 これまでのエビデンスは、汚染食品によるリスクが極めて低いことを示している。食品を介してコロナウイルスが拡散する可能性は極めて低いが、他の感染症と同様、食品を調理する際は適切な衛生慣行を実践すべきである。

2. 感染した食品取扱者によるリスク

 主要な伝播経路はヒト−ヒト間であると考えられている。食品・調理器具表面・食品包装を介する病因物質の伝播を防ぐために、危害分析重要管理点方式(HACCP)に従って、人および環境に必要な対策を従事者全員が必ず実施すべきである。

3. 汚染された食品接触物によるリスク

 これまでのエビデンスは、食品接触物によるリスクが極めて低いことを示している。食品接触物などの汚染リスクを効果的に低下させるための適正衛生規範が、製造工程において既に導入されているためである。

食品を取り扱う際の感染予防に関する助言

 食品を取り扱う際には感染拡散の予防策を講じ、適正衛生規範を常に守ることが重要である。

・食品を調理している間は手指を丁寧に洗い、咳またはくしゃみをした後、トイレの使用後、飲食の前には特に念入りに洗う。

・手を洗った後に手指用消毒ジェルを使用するのはよいが、消毒ジェルの効果があるのは清潔な手に対してのみである。決して手洗いの代わりとして手指用消毒ジェルを使用すべきではない。

・可能であれば、トングなどの器具を使用することにより、手指と食品との直接的な接触を最小限に抑えるようにする。そのためには手袋の使用も可能である。しかし、手袋は手と同様に細菌に汚染される可能性があるため、適切な衛生慣行や手洗いの代わりにはならない。

仕事環境における食品取扱いに関する助言

 スコットランド健康保護庁(UK HPS)は、仕事環境におけるコロナウイルス拡散の予防法についての助言を発表した。以下に一部を紹介する。

・手指が頻繁に接触する物や表面(ドアノブ、テーブルなど)の洗浄・消毒を定期的に行う。

・従業員・出入業者・利用者・訪問者などが利用できる手洗い設備を確保すること、および目立つ場所に手指消毒用アルコールを設置することにより、手指の衛生を促進する。

・人々が共有する調理施設の食器類は、一般用洗剤と温水で洗浄し、完全に乾燥させてから収納する。

・個別包装されていない食品(ポテトチップス、オープンサンドイッチなど)は、人が集まる環境に曝されないようにする。

食品事業者は、多くの人が利用できる環境でカバーをかけずに食品を提供する場合には(ビュッフェ、セルフサービスなど)、予防策を講じる必要があることを念頭に置くべきである。予防策を講じることが可能でなく、汚染が発生した可能性がある場合は、スコットランド食品基準庁(FSS)の「撤去および回収に関するガイダンス(withdrawals and recalls guidance)」に従うべきである(以下のWebページ参照)。
https://www.foodstandards.gov.scot/publications-and-research/publications/guidance-on-food-recalls


国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部