オーストラリア・ニュージーランド食品基準局(FSANZ)からの新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)関連情報
https://www.foodstandards.gov.au/


食品および食品包装を介した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の伝播
Transmission of COVID-19 by food and food packaging
Last updated: 14 December 2020
https://www.foodstandards.gov.au/consumer/safety/Pages/Can-COVID-19-be-transmitted-by-food-or-food-packaging.aspx

(食品安全情報2021年3号(2021/02/03)収載)


 食品または食品包装を介してCOVID-19に罹患し得ることを示すエビデンスは現時点では存在しない。世界保健機関(WHO)、保健・食品安全に関するその他の国際機関、オーストラリア政府およびニュージーランド政府が発表している現在の助言は、この事実に沿っている。


食品を介した伝播
 COVID-19はヒトからヒトに伝播する呼吸器疾患であり、食品由来疾患ではない。食品・飲料に含まれる新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の摂取による感染を示すエビデンスは現時点では存在しない。

 研究によると、SARS-CoV-2は胃酸により不活化するため、腸管に達して疾患を引き起こす可能性は低い。詳細は以下のWebページを参照。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7285829/

 国際食品微生物規格委員会(ICMSF)も、食品がCOVID-19の感染源または媒体であることを証明する文献は現時点では存在しないという結論を出している。詳細は、ICMSFの以下のWebページを参照。
https://www.icmsf.org/wp-content/uploads/2020/09/ICMSF2020-Letterhead-COVID-19-opinion-final-03-Sept-2020.BF_.pdf

 重要な伝播リスクは、感染したヒトとの濃厚接触である。最良の感染対策は、常に社会的距離を確保すること(social distancing)および個人の適切な衛生慣行を守ることである。感染リスクを減らす方法は、石鹸と水で手を頻繁に洗うこと、顔を触らないことなどである。


食品包装を介した伝播
 食品包装が何らかの伝播リスクになるという報告はない。SARS-CoV-2が包装表面上で生残できる時間または検出できる時間がどれくらいであるかはまだ確認されていない。いくつかの研究によると数時間から数週間と考えられており、表面の種類、環境の温度や湿度によって異なる。

 食品または食品包装を介してCOVID-19に罹患した症例が報告されたことはない。FSANZは、中国で輸入食品および包装からSARS-CoV-2およびその遺伝子の痕跡が検出されたことを認識している。

 食品または食品包装を介してCOVID-19に罹患する可能性について、FSANZは監視とエビデンスの評価、現在の助言に関するその影響の考察を今後も続けていく。

 不安に感じる場合には、アルコール性消毒剤や漂白剤などの一般的な家庭用消毒剤で表面を消毒する。


果物および野菜の洗浄
 生鮮果物および野菜は、喫食前に流水で洗う。その際、石鹸、消毒剤、洗剤などを使用すべきではない。このような洗浄剤はヒトが摂取するようには考案されておらず、食品への使用は安全ではないと考えられる。


食肉の安全性
 COVID-19は動物由来の可能性があると考えられているが、オーストラリアでは食肉を介してヒトが罹患することは考えにくい。

 WHOは、食肉を適切に加熱し、何らかの疾患を発症した動物の肉を喫食しないように呼びかけている。

 オーストラリアで販売される食肉はすべて厳しく管理されており、発症した動物の肉や内臓をヒトの食用にすることは禁止されている。COVID-19予防のためにオーストラリアの食肉に特別な対策を追加する必要はない。

 すべての生肉が、食中毒の原因となる微生物に汚染されている可能性がある。生肉を扱う際には常に適切な食品安全規範を守ることが重要である。特にひき肉および鶏肉については、交差汚染を防止することと適切に加熱することに注意を払う。

 FSANZは、いかなる食品を扱う際にも食品安全規範を守るように助言している。

 新型コロナウイルスと食品安全に関する様々なトピック別の詳細が、FSANZの以下のWebページから入手可能である。
https://www.foodstandards.gov.au/consumer/safety/Pages/NOVEL-CORONAVIRUS-AND-FOOD-SAFETY.aspx



国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部