(食品安全情報2020年4号(2020/02/19)収載)
(食品関連部分のみ一部紹介)
コロナウイルスとは何か?
コロナウイルス科は、一般に呼吸器疾患の原因となる多数のウイルスを含む科である。コロナウイルス科には一般的な風邪の原因となるウイルスや、より重篤な疾患である重症急性呼吸器症候群(SARS)や中東呼吸器症候群(MERS)などの原因となるウイルスが含まれている。
新型コロナウイルス(nCoV)とは、これまでヒトからは検出されたことがなかった新しいコロナウイルス株のことである。現在流行している2019 Coronavirusは新型コロナウイルスとされる。
コロナウイルスは食品を介して伝播し得るか?
SARSおよびMERSで得られた知見から、食品を介したウイルスのヒトへの感染は起こらないことが示唆されている。したがって、ウイルスが食品を介して伝播する可能性は低く、また現時点で2019 Coronavirusが食品を介して伝播したことを示すエビデンスは存在しない。
コロナウイルスは増殖するために宿主(動物またはヒト)を必要とし、食品中では増殖できない。SARSコロナウイルスについては60℃で30分以上の加熱を行う処理が効果的であることが知られており、2019 Coronavirusは十分な加熱によって死滅するとみられている。
コロナウイルスの最も一般的な伝播経路は、動物−ヒト間、およびヒト−ヒト間である。2019 Coronavirusの感染源は動物であると考えられているが、正確な感染源はまだ明らかになっていない。
通常は、感染者のくしゃみによって排出され空気中に浮遊しているウイルスを吸い込むなど、感染性の飛沫が粘膜に直接付着することでウイルスの伝播が起こる。
本アウトブレイクの感染源およびヒトへの伝播が起こり得る経路を特定するため、中国で調査が続けられている。
食品業従事者に対する助言
食品業従事者が感染した場合、食品取り扱い時に適正衛生規範を厳密に遵守しなければ、咳やくしゃみ、または手指で触れることにより、食品をウイルスで汚染させる可能性がある。
世界保健機関(WHO)は、様々な疾患の曝露機会および伝播リスクを低減させるため、以下のような基本的な推奨事項を発表し、これらが堅持されるよう助言している。
調理場において、生または加熱不十分の食品と加熱済みまたはready-to-eat食品との交差汚染を防ぐため、適切な衛生慣行および清掃も重要である。
追加的な予防措置として、呼吸器疾患が疑われる症状が見られる食品取扱者は、雇用主に申告し、他の人のための食品調理は避け医療機関を受診すべきである。
食品ビジネスの事業主および経営者に対する助言
食品事業者は、食品由来疾患を防止する上で重要な役割を担っており、以下の助言に従うべきである。
FSAIは、2019年12月に中国の武漢市(湖北省)で最初に特定された新型コロナウイルス(COVID-19)による呼吸器疾患のアウトブレイクを注意深く監視しており、必要に応じて情報の更新を行っていく。
WHOは、本アウトブレイクに関する最新情報および一般向けの助言を以下のWebページで提供している。
https://www.who.int/emergencies/diseases/novel-coronavirus-2019