(食品安全情報2020年7号(2020/04/01)収載)
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染による気道疾患COVID-19のアウトブレイクの発生とそれに伴う中国各地での流行に続き、ドイツ国内および欧州でもこのウイルスが拡散し続けている。ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)は、新型コロナウイルスが食品および子供用玩具、携帯電話、ドアノブや工具などの輸入製品についてだけでなく、食器類を介してもヒトに伝播し得るかどうかについて、不安感を抱く消費者から問い合わせを受けている。このような状況を考慮し、BfRは本件について最も重要なQ&Aをまとめており、今回、内容の一部を更新した。
【食品に関する部分のみを紹介】
飛沫感染以外の伝播経路はあり得るか?
汚染食品の喫食や汚染された物との接触により患者が新型コロナウイルスに感染したことを示すエビデンスは現時点では存在しない。また、その他のコロナウイルスについても食品や乾燥した表面との接触による感染の報告は確認されていない。一般的にウイルスに汚染された直後の表面を介した伝播は塗抹感染として起こり得るが、環境中におけるコロナウイルスの安定性は比較的低いため、このような伝播が起こるのは汚染後短時間のみであると考えられる。
感染が拡大した地域から輸入された製品はヒトへの感染源になり得るか?
現時点で得られている知見によると、これまでに報告された伝播経路および環境中でのコロナウイルスの安定性の低さから、食品、消費財、玩具、工具、コンピューター、衣類、靴などの輸入製品が新型コロナウイルスの感染源となる可能性は低い。既知のコロナウイルスの生残についてはドイツのGreifswald大学およびBochum大学の研究者が最新の研究結果(以下の両Webページ参照)を報告しているが、今回の評価は引き続き有効である。
https://www.uni-greifswald.de/en/university/information/current-news/details/n/how-long-coronaviruses-persist-on-surfaces-and-how-to-inactivate-them-60255/
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0195670120300463