米国食品医薬品局(US FDA)からの新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)関連情報
https://www.fda.gov


新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する更新情報:パンデミック下における米国食品医薬品局(US FDA)の検査・評価業務および今後の活動を概説するロードマップを発表
Coronavirus (COVID-19) Update: FDA Outlines Inspection and Assessment Activities During Pandemic, Roadmap for Future State of Operations
May 05, 2021
https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/coronavirus-covid-19-update-fda-outlines-inspection-and-assessment-activities-during-pandemic

(食品安全情報2021年13号(2021/06/23)収載)


 米国食品医薬品局(US FDA)は、報告書「Resiliency Roadmap for FDA Inspectional Oversight(FDAの検査管理業務再開のためのロードマップ)」を発表した(以下Webページ参照)。
https://www.fda.gov/media/148197/download
この報告書には、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック下におけるFDAの検査実施、より安定した業務遂行のための計画の詳細、今後の優先事項などが概説されている。

 2020年3月、FDAは、定期的サーベイランスとしての国内外施設への立ち入り検査をすべて一時的に延期し、“極めて重要(mission critical)”な検査については可能であれば継続することを発表した(以下Webページ参照)。
https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/coronavirus-disease-2019-covid-19-update-foreign-inspections
2020年7月20日の週から、FDAは、「COVID-19 Advisory Rating system(COVID-19症例数にもとづくランク付け支援システム)」(以下Webページ参照)を利用して、国内の優先すべき検査の再開に向けて活動を開始した。
https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/coronavirus-covid-19-update-fda-prepares-resumption-domestic-inspections-new-risk-assessment-system
本報告書は、移動制限、またはFDAとその管轄機関の職員の安全が確保できないことにより過去1年間(2020年3月〜2021年3月)に完了できなかった検査について概要を説明している。また、医薬品不足が発生した施設の検査や、新薬またはCOVID-19治療の可能性のある医薬品の認可に必要な検査などFDAが過去1年間に完了した“極めて重要”な検査の件数、市販前・認可前の申請の支援、食品由来疾患アウトブレイクへの対応、非表示のアレルゲンなどの食品安全リスクを報告している。

 特に重要な事項として以下が報告されている。

  • “極めて重要”な検査として、FDAは2020年3月〜2021年3月に国外の29件を含む計821件の検査を行った。
  • 国内の優先すべき検査として、2020年7月にこのような検査の実施が再開されてから計777件の検査を行った。
  • 医薬品の承認または認可については2020年3月以降に13,500件以上の申請を受け、このうち推定68件については、検査が実施できず対応が遅れているが、それらの大部分は“極めて重要”とは言えないと判断されているものである。
 報告書はまた、先般や現在のように検査ができない状況において代替となるツールやアプローチ、たとえばリモートで双方向的に行う評価方法(検査のライブストリーミングビデオ、テレビ会議、モニター画面共有など)、記録提出の要請、信頼のおける規制機関からの情報の利用などを今後も適切に利用するとしている。例を挙げると、ヒト・動物用医薬品および生物製剤の製造業者に対して1,300件以上の記録提出が要請され、規制措置の迅速な決定が増えた(以下Webページ参照)。
https://www.fda.gov/industry/fda-user-fee-programs/cders-work-meet-user-fee-goals-during-pandemic

 さらに、COVID-19パンデミックにより実施されなかった国内外の検査の優先順位を決定する方法など、通常レベルでの検査業務の再開に向けてFDAが講じている対策について記載している。再開のための計画では、現在も続いているCOVID-19パンデミックの進行状況がまだ不明確であることを考慮に入れ、考えられる様々なシナリオが作成されている。FDAの任務にとって“極めて重要”と考えられる検査が最優先されることは今後も変わらない。定期的なサーベイランス検査を計画する際、FDAはリスクの高い施設を優先する。したがって、FDAがCOVID-19パンデミックの影響に合わせて調整を行い、リスクがそれほど高くない施設の検査間隔は長くなると考えられる。すなわち、延期されている検査についてはリスクにもとづいて優先順位が決定され、検査が長期間にわたることになり、その結果としてリスクの低い一部の施設で検査間隔が長くなる。

 FDAは、その規制監督任務の改革(リモートによる手法など)に役立てるため、データに関する企業プラットフォームの改変や、プログラムの相互運用を可能にする構造への転換など、複数年にわたる近代化計画をまもなく開始する予定である。この近代化計画には、次世代の評価技術や改良点を生かした検査手法の検証が含まれる。また、検査業務の計画および統括を行う「FDA Inspectional Affairs Council(FDA検査業務協議会)」の設立が進められている。FDAは業務の近代化を進めるにあたり、以上のような取り組みに関する情報の共有を推進している。FDAは検査任務の責任を果たすために利用可能なあらゆるツールやリソースを最大限に活用し、公衆衛生に最大の効果を上げていく。

(関連情報)
米国食品医薬品局(US FDA)

○ FDAの検査管理業務再開のためのロードマップ
Resiliency Roadmap for FDA Inspectional Oversight
MAY 2021
https://www.fda.gov/media/148197/download

○ FDAの意見:FDAはCOVID-19パンデミック下で安全・高品質な食品および医薬品を確保するため現行の検査ツールの使用を継続
FDA Voices: FDA’s Ongoing Use of Inspectional Tools for Ensuring Access to Safe, Quality Food and Medical Products During the COVID-19 Pandemic
03/18/2021
https://www.fda.gov/news-events/fda-voices/fdas-ongoing-use-inspectional-tools-ensuring-access-safe-quality-food-and-medical-products-during

○ FDAによるCOVID-19関連情報
Coronavirus Disease 2019 (COVID-19)
06/11/2021
https://www.fda.gov/emergency-preparedness-and-response/counterterrorism-and-emerging-threats/coronavirus-disease-2019-covid-19

 


国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部