食品からのカンピロバクターの検査法を試案しています。ご意見、疑問点等ございましたら、igimi@nihs.go.jp 迄お寄せ下さい
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食品からのカンピロバクター(ジェジュニ/コリ)の検査法試案 |
コメントおよび懸案事項 |
サンプルの調製 |
(1)サンプルの採取 25 g (25 mL) のサンプルを採取し、ストマックバッグに入れる。 検討手法:サンプルを等量の増菌培地または緩衝液等で、洗浄しその洗い液を増菌および直接選択培地に接種する。 増菌培地225 mLに入れてホモジネートする。 増菌培養は通常の場合、Preston増菌培地を利用する。 また、菌損傷の可能性の高い場合はBolton培地を使用する。 |
(注1)増菌培地使用量の削減のために以下の方法の採用について (注2)使用する増菌培地について 現在、日本では増菌培地としてPreston培地が広く用いられている。一方、近年の欧米の公定法では、Campylobacterが環境中では損傷を受けやすいことから、損傷菌を含めた増菌のためにBolton 培地の導入が認められる。我が国において設定する公定法についても、欧米の主な公定法と釣り合いをとる必要があり、従って、Preston 培地とBolton 培地を実験的に比較したデータが必要と考えられる。 |
増菌培養 |
(Preston培地) 微好気条件にて42?Cで 24 - 48時間培養する。 (Bolton培地) 微好気条件下にて37?Cで4時間培養の後に、42?Cで 24 - 44時間培養する。 微好気条件については以下の方法が推奨されており、微好気条件が保持される事を市販の指示薬などで確認して利用すること。 微好気条件とは酸素5%,二酸化炭素ガス10%,チッ素85%を基本とする。 @培養室内を微好気条件に自動制御できるインキュベータ A市販の微好気ジャーシステム(ガスキットシステムなど)を利用する方法。 B微好気ガスで容器の気相を置換し、ガスを透過しない容器で密閉する。 |
(注3)Bolton培地を用いた場合の培養温度のシフトアップについて 培養温度のシフトアップは操作が大変になると考えられる。一方、欧米の公定法ではシフトアップが設定されている。従って、培養温度をシフトアップする方法としない方法を実験的に比較したデータが必要と考えられる。 (注4)微好気条件の設定方法について 記載した各々の設定方法を実験的に比較したデータが必要と考えられる。 |
分離培養 |
分離培地に増菌培養した液を画線塗抹して42℃で24 - 48時間培養する。 分離培地はmCCDA培地を用いる。また、必要に応じて、下記の二次培地を追加する。 Karmali 寒天培地、Modified Butzler培地、Skirrow培地、Preston寒天培地 |
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コロニーの同定 |
疑わしい形状のコロニーを5コロニー程度採取。 直径1-2mm程度の正円形でやや隆起したコロニー(時に扁平する)を対象とする。 (2)コロニーの同定準備 コロンビア血液寒天培地およびこれと同等の糖の含有が少ない非選択培地に塗抹して42℃で24 - 48時間培養。 (3)鑑別同定 @グラム染色:ラセン状(球状[コッコイド]の場合もある)のグラム陰性かん菌 Aカタラーゼ陰性 Bオキシダーゼ陽性
Eインドキシル酢酸塩加水分解陽性(C.jejuni [+]、C.coli [+]) F必要に応じてTSI培地などで生化学試験 |
(注5)jejuni/coli以外はほとんど出ない実態があるのでD−Fが必要かどうか検討 以上、検査法試案作製にあたりまして、参考と致しました海外の検査法との比較については 「海外の検査法との比較表」を参照して下さい。
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検討協力衛研 : 東京都健康安全研究センター 埼玉県衛生研究所
秋田県衛生科学研究所 愛知県衛生研究所
大阪府立公衆衛生研究所 広島市衛生研究所
山口県環境保健研究センター 熊本県保健環境科学研究所
群馬県衛生環境研究所