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〔研究結果〕
1.有機塩素系化合物
1)コホート研究
2001 年1 月1 日以降の報告はなかった。
有機塩素系化合物について甲状腺がんとの関連を検討した研究は、クロロフェノキシ除草剤に関する1 件のみであった。Saracci
ら(1991)による10 ヶ国約18000 人のコホートを利用した後ろ向きコホート研究では、2,4-T
などのクロロフェノキシ除草剤暴露者で有意なSMR の上昇が観察されている(SMR:367, 95%CI: 100-940)。
2)症例対照研究
該当する文献はなかった。
3)横断面研究(エコロジカル研究を含む)
2001 年1 月1 日以降の報告はなかった。
Grimalt ら(1994)はスペインにおいて、大気中HCB 濃度が対照地域よりも約100
倍高い有機塩素化合物工場周辺地域のSIR を求めたところ、男性でSIR が有意に高かった(6.7,
95%CI:1.6-28)。ただし、女性では有意な増加はみられなかった(SIR: 1.0)。
Schreinemacher ら(2000)の米国の152
の郡でのエコロジカル研究では、クロロフェノキシ除草剤を使用する小麦の作付け面積が大きい地域では有意なSRR
の上昇はみられなかった。2.Diethylstilbestrol
Diethylstilbestrol
(DES)暴露と甲状腺との関連については、米国での前向きコホート研究が2件報告されていた。Strohsnitter
ら(2001)は米国の4 つのコホートで3613 名を1979-1994
年の間追跡したが、暴露群で有意なリスクの上昇を観察していない(SIR: 2.27, 95%CI:
0.27-8.18、非暴露群のSIR: 4.39, 95%CI: 0.89-12.83)。
Titus-Ernstoff ら(2001)は米国で1950 年代と1980 年代の2 つのコホートの7560 名を1994
年まで追跡したが死亡の増加はみられなかったことを報告している(RR: 0.92, 95%CI: 0.60-1.39)。
3.その他の物質
2001 年1 月1 日以降の報告はなかった。
有機塩素系化合物以外については、Schreinemacher ら(1999)が米国、ミネソタ州の4
つの地域でのエコロジカル研究で農業地域のSRR を算出している。Ethylenebisdithiocarbamate
などの除草剤の使用が多い農業地域についてSRR を都市・森林地域と比較したところ、男性で有意な増加がみられた(SRR:
2.95, 95%CI:
1.35-6.44)。女性では有意な増加はみられなかった。ただし、詳細な暴露物質、暴露状況は不明である。
アルキルフェノール類、ビスフェノールA などについての報告はなかった。 |