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LastUpdate:2016/3/31
 
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内分泌かく乱化学物質の健康影響に関する検討会
中間報告書追補その2

 

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  4.その他の物質
 有機塩素系農薬類以外については、Schreinemacher ら(1999)が米国において、都市・森林地区と比較してethylenebisdithiocarbamates などの除草剤の使用が多い農業地域のSRR が有意に高いことを報告している(1.12, 95%CI: 1.00-1.26)。ただし、暴露物質や暴露状況ははっきりしていない。
 Janssens ら(2001)は、ベルギーの地方自治体589 カ所について、1998 年の作物栽培及び殺虫剤使用量と1985-1994 年の死亡率統計の相関をみたところ、枯草剤使用量と死亡率(P=0.01)、成長調整剤使用量と死亡率(P=0.02)に関連がみられた。他の種類の殺虫剤については、関連はなかった。
アルキルフェノール類、ビスフェノールA などについての報告はなかった。

〔考察〕
有機塩素系化合物についての研究については、2001 年1 月1 日以降に報告がみられた。アトラジンについては、農業従事者のコホート研究でリスクの上昇がみられていない。工場労働者についてのコホート研究ではリスクの上昇が観察されたが、その後、PSA テスト受診を考慮すると有意なリスクの上昇はみられていない。PCB については、コホート内症例対照研究と症例対照研究で有意なリスクの上昇はみられていない。コホート内症例対照研究と症例対照研究でHeptachlor、Lindane、DDE などの有意なリスクの上昇がみられているが、報告は少なく、暴露との関連は判断できない。残留有機塩素系化合物について物質を特定した研究の必要性がある。
 農業や農薬暴露と前立腺がんの関連に関しては、2000 年12 月31 日以前の文献では、5 つの前向きコホート研究(2 つの文献は同じコホート)のうち、3 つで有意なリスクの上昇、1 つの研究では95%信頼区間下限がほとんど1.00、残りの1つの研究では統計的な解析が行われていなかった。SIR の大きさは、およそ1.1-2.5 程度と大きくはないが、農薬散布者では一貫してリスクの上昇が観察されている。2001 年1 月1 日以降の文献でも、症例対照研究が1 件(文献は2 つ)あり、同様の結果であった。ただし、農薬の種類などは不明であり、暴露評価も不明な点が多い。Keller-Byrne ら(1997)の農業と前立腺がんに関する研究のメタ分析では、24 の研究か
ら評価した相対危険度は1.12(95%CI: 1.01-1.24)、13 の後ろ向き研究を総合すると1.29(1.10-1.51)、11 のSMR を報告している研究を総合すると0.93(0.77-1.11)と報告されている。Van Maele-Fabry らによるメタ分析の結果も同様であった。農業従事者における暴露は農薬散布者における暴露よりも小さいことが考えられるため、これらの結果を考慮すると、農薬を暴露する職種のリスクは小さいが上昇している可能性が高い。ただし、他の要因の関与も否定できず、特定の農薬についてのリスクも判断できない。
 また、有機塩素系化合物以外の物質についての報告はなかったが、そのような物質の中にはビスフェノールA などのようにアンドロゲン様の作用を持つものもあり、前立腺がんリスクとの関連の評価が必要である。
子宮内でのDES 暴露と前立腺がんに関する文献は1 件もなかった。DES 暴露とがん罹患について男児を追跡した研究は精巣がんについてはあるが、前立腺がんについては発症年令が高いために報告されていないことも考えられた。
 以上のように、内分泌かく乱化学物質と前立腺がんとの関連についての疫学研究の知見は増えているが、結果は一致しておらず、因果関係を評価することは不可能であった。また、日本人での研究はなかった。今後、化学物質と前立腺がんとの関連についてわが国でも研究を行う必要がある。

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